東京新聞 2022/9/29
中国新疆しんきょうウイグル自治区の「再教育施設」でウイグル族入所者に中国語を教えていたケリビヌル・シディクさん(53)=ウズベク族=が、東京都内で本紙の取材に応じ、施設内で女性へのレイプなど非人道的行為が行われていたと証言した。
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区都ウルムチの小学校で28年間、中国語を教えてたシディクさんは、地元当局に命じられ、2017年3月から9カ月、2カ所の再教育施設で中国語を教えた。
施設は高い塀に囲われ、上部には有刺鉄線が張られていた。監視カメラが設置された内部には、武装兵士も配置されており、「施設内は戦場のような緊張状態だった」と振り返る。
施設で働く女性警官らからは、女性入所者が中国人警官たちに日常的にレイプされていると聞かされた。「男たちは宴会で、レイプの様子を話すのを楽しみにしていた」と顔をゆがめる。入所者には定期的に正体不明の薬品も投与されたという。
施設内の出来事は家族も含め口外しないと誓約させられた。「精神的に耐えきれなくなった」シディクさんは血圧が急低下。入院を余儀なくされ、やっと仕事から解放されたという。
中国政府は再教育施設について、ウイグル族に職業訓練を施し、イスラム過激思想を除去するためと説明している。シディクさんは「入所者には高等教育を受けた知識人や企業家もおり、教育の必要はまったくない」と断言した。
シディクさんは19年、娘がいるオランダに脱出した。ウルムチに住む夫には20年以来、連絡が取れないという。(浅井正智)
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