「『新疆問題はでっちあげ』とは書けない」 西日本記者に中国メディア記者が漏らした言葉

産経新聞 2025/6/9 14:23

自民党の「南モンゴルを支援する議員連盟」(会長・高市早苗前経済安全保障担当相)は5日、国会内で総会を開き、西日本新聞の坂本信博報道センター総合デスクが講演した。坂本氏は北京特派員時代、当局に迫害される少数民族取材に力を入れ、自身も7度拘束されるなど硬軟両様の手段で取材妨害に直面した。習近平国家主席について「中華民族の名の下、全民族を漢民族化させようとしている」と指摘した。

「他のエリアにない抑圧」

自民党有志議員による「南モンゴルを支援する議員連盟」=5日午後、国会内

坂本氏が中国総局長(北京特派員)を務めたのは2020年8月から3年。21年2月には「中国衛生健康統計年鑑」などを分析し、新疆ウイグル自治区で18年の不妊手術件数が過去4年で19倍に急増した実態を報じた。中国国外で懸念されたウイグル人への強制不妊疑惑を中国政府の公式資料から指摘した形となる。

中国新疆ウイグル自治区で首からQRコード付きのカードを下げる子供やお年寄り

実際、自治区を訪れた際は、監視カメラの多さに「他のエリアにない抑圧」を感じたという。ウイグル人が使用する包丁はすべてQRコードが刻印され、鎖が付いて持ち出せないようになっていた。スマートフォンを持たない子供やお年寄りは外出する際はQRコード付きのケースをぶら下げていた。

格子が確認される強制収容所とされる施設の窓

強制収容所の前も訪れた。中国政府は「学校」と称するが、坂本氏は「撮影厳禁」の警告板や施設の写真を示し、「本当の学校は普通の窓だが、強制収容所の窓は格子だった」などと指摘した。

尾行の男がウイグル人の表情を変える

自治区では坂本氏も監視下に置かれていた。尾行する男の写真を示しながら「現地の人に接触しようとすると、この男がパッと来て小声で現地の人にしゃべり、現地の人は表情が変わって取材に応じてくれなくなった」と振り返った。

「現地の人に警告することで、取材をさせない。3年後、他社の記者が行くと尾行も付かなくなったそうだ。尾行しなくても『監視カメラが見ているぞ』と現地の人にアピールできる監視社会になっている」

内モンゴル自治区では2020年9月、小中学校の授業でモンゴル語から標準語(漢語)に切り替えられたことで、抗議デモが相次いでいた。坂本氏も内モンゴル人に取材アポを入れたが、直前に「情報が漏れて私の家の前にずっと警察がいます」と連絡があったという。

「日本人記者が来ている」と通達

なんとか話を聞くと、デモに参加した人は解雇されたり、ローンを組めなくなったりさまざまな弾圧を受けたという。悲嘆に暮れて命を絶つ内モンゴル人もいたという。

内モンゴル自治区の地元当局が出したとされる通達。「日本人記者が2日前からフフホト市に来ている。教員や保護者は許可なく取材に応じてはならない」と書かれていた

再度、内モンゴル自治区を訪れると、取材協力者から「日本人記者が来ている。許可なく取材に応じてはならない」と地元当局が住民に宛てた通達が送られてきた。坂本氏は「どんどん抑圧は強まっている。日本で暮らしている内モンゴル人も常に監視されている感覚がある。どこに中国当局のスパイがいるか分からないという不安を抱えている」と指摘した。

ただ、心配する坂本氏に対し、自治区の住民は「われわれは数千年、この地域に暮らしている。たかだが10年や20年の暴力でわれわれの文化を消すことはできない。われわれはあきらめないし、モンゴルの文化を守り続けていく」と語ったという。

日本ファンは長期的に国益

中国メディアにも坂本氏と打ち解ける記者がいたという。

自宅に坂本氏を招待するなど親しくした中国メディアの記者は突然、退社を告げた。

「上司から『坂本さんの記事を批判しろ』『新疆の問題はでっちあげという記事を書け』といわれた」

中国メディアの記者はこう説明した後、「自分は新疆に行ったことがない。坂本さんは友達だ。でっちあげることはできない」と漏らした。

坂本氏を巡っては、3年の駐在生活で日本人と知られても侮蔑の言葉を投げられる場面はなく、ほとんどの中国人は日本に好意的な印象を持っていたという。

坂本氏は中国共産党政権には否定的な考えを示した上で「危険な目にもあったが、中国の人や文化は好きでファンになった」と述べ、「中国の人々を日本のファンにできるかが長い目で見ると日本の国益につながる」と強調する。(奥原慎平)

> 高市早苗氏、G7声明「南モンゴルの人権懸念言及ない」問題視

https://www.sankei.com/article/20250609-RFPXCURQHNF35DMMNQSCDSIX2E/

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