中国で死去したウイグル人の葬儀、なぜ日本で急増? 自治区のコロナ禍、弾圧悪化に懸念

東京新聞 2022/12/8

中国新疆ウイグル自治区にいる家族の死去に伴い、日本で葬儀を行う在日ウイグル人が増えている。同自治区の複数の都市では新型コロナウイルス対策のため8月から封鎖され、現地で葬儀が行えないためだ。同自治区でウイグル人などイスラム系少数民族に対する弾圧が、防疫措置にともない悪化したと懸念されている。(中沢穣、写真も)

◆在日ウイグル人は2000人なのに、1日5人の葬儀も
日本最大のモスク「東京ジャーミイ」(東京都渋谷区)で先月下旬、金曜礼拝に続き、同自治区で亡くなったウイグル人男性のため「ジェナーザ」という葬儀が行われた。数分間の短い儀式は「死者の生前の罪や過ちが許されるよう願い、来世に天国に行けるよう祈る」(同モスク広報担当の下山茂さん)というものだ。イマーム(イスラム教の指導者)の言葉に合わせ、トルコやパキスタンなどさまざまな国籍の1000人近いイスラム教徒が祈りをささげた。
下山さんや在日ウイグル人によると、同自治区が都市封鎖に入った8月以降、ウイグル人のジェナーザが相次ぐ。先月だけで十数人にのぼり、5人のジェナーザが行われた金曜日もあった。日本にいるウイグル人は約2000人にすぎない。

日本ウイグル協会副会長のハリマト・ローズさん(49)によると、封鎖された都市で亡くなったウイグル人は、遺体の埋葬はできても葬儀は許されないケースが多い。そのため国外の家族や親族が代わりにジェナーザを行うという。一方、米政府系のラジオ自由アジア(RFA)は11月上旬、封鎖中の同自治区グルジャ市で当局が亡くなったウイグル人の遺体を強制的に集めていると伝えた。当局が遺体をどのように埋葬したかは不明だ。
現地当局は親族らが海外にいるウイグル人を重点的に監視しているとみられ、在日ウイグル人も入手できる情報は限られる。当局の盗聴を恐れて家族とも現地の状況は話さないといい、あるウイグル人の男性は「家族は硬い表情で『共産党が親切にしてくれる』としかいわない。それ以上は聞けない」と声を落とす。当局は家族の通信機器を定期的に調べるという。

◆当局発表「死者3人」でも…都市封鎖された自治区のコロナ禍
当局の制限によって親族との連絡が途絶えているケースも少なくない。別のウイグル人男性は、数年ぶりの連絡で家族の死去を伝えられた。死因は「風邪」とされたが、男性は新型コロナを疑う。
当局発表では、人口約2600万人の同自治区での新型コロナによる累計死者数はわずか3人だが、多くの在日ウイグル人が新型コロナのまん延を憂慮する。「ジェナーザ」が相次いでいるほか、埋葬の際に「多数が順番待ちしていた」という情報があるためだ。ローズさんは「心配だが、どうすればいいか分からない」と頭を抱える。
同自治区での都市封鎖は8月上旬から自治区中心都市ウルムチ市などで始まった。共産党大会を控えた10月上旬には同自治区から出る鉄道の運行が停止された。食料などの供給が滞った地域もあったとみられ、RFAは隔離施設の劣悪な環境や複数のウイグル人が餓死したとも伝えた。
ウルムチ市では先月上旬に封鎖に対する抗議活動があったが、ネット上で広まった映像からは参加したのは漢族が大半とみられる。以前から弾圧されているウイグル人が抗議の声を上げるのは容易ではない。
中国当局は現在、防疫措置を全国的に緩和しており、同自治区でも大規模な封鎖は解かれた。しかし5日時点で400カ所以上が「高リスク地域」に指定されており、団地単位での封鎖は続いている模様だ。発表によると、同自治区での1日あたりの感染者数は11月中〜下旬の1000人前後(無症状を含む)が最多だった。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/218554

在日ウイグル人証言録

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