衛星データで判明、中国のヤバい「核兵器開発」

東洋経済 2024/01/06 8:00

約60年前に中国初の原爆実験が行われた辺ぴな砂漠地帯で最近、1台の掘削装置が少なくとも3分の1マイル(約500メートル)に達すると推定される深い縦坑を掘った。

中国政府が核兵器実験を検討していることを示す、これまでで最も強力な証拠だ。実験が行われるかもしれない新世代の核兵器は、急速に拡大する同国のミサイル戦力の殺傷能力を高める可能性がある。

新たに掘られた複数の掘削孔が発覚

アメリカ政府の報告書や独立した立場の専門家たちは、何年も前から旧ロプノール基地について漠然とした懸念を示してきた。報告書では、同基地を通年稼働させる準備が進められている可能性と「透明性の欠如」が指摘されている。

だが今回、多数の衛星画像によって、この軍事基地には新たに掘られた掘削孔が複数あることが明らかになった。大規模な核爆発で発生する致死的な放射線の嵐を閉じ込めるのには理想的な掘削孔だ。さらに、何百もの改修工事や拡張工事が行われていることもわかっている。

「すべての証拠が、中国が核実験再開に向けた準備を進めていることを示している」と、カーネギー国際平和基金の核専門家、トン・ジャオは言う。

ニューメキシコ州ロスアラモスにある兵器研究所の元所長、ジークフリート・S・ヘッカーは、ロプノール基地の再建は普通ではないと話す。「ロシアとアメリカが実験場で続けてきた活動とは、まったく様相が異なる」と言うのだ。

アナリストたちは、ロプノールでの活動は中国の核態勢が広く近代化されていることを示すもので、新時代の核兵器開発競争に火を付ける恐れがあると警告している。

アナリストたちは加えて、最近の中国の活動は、ほかの核兵器保有国の動きと並んで、1996年に始まった世界的な核実験禁止条約を弱体化させる可能性があると指摘する。同条約は、冷戦後に世界の核兵器保有国が大きな代償の伴う核兵器開発競争を抑制する手段として採択されたものだ。

実験準備は明白、習近平の意図は不明

ロプノールで進む核兵器実験の新たな証拠は、アメリカ国防総省の1部門である国家地理空間情報局の元アナリスト、レニー・バビアーズによって暴かれた。衛星偵察と中国の核開発計画の専門家であるバビアーズは、深い縦坑内での爆破実験は、中国が急速に拡大させている兵器備蓄を新型核兵器によって完全なものにしようとする取り組みを加速させる可能性があると言う。衛星画像とバビアーズの分析を検証した独立した立場の専門家たちも、同じ懸念を抱いている。

ロプノールでの活動は、アメリカと中国の関係における最も微妙な時期の1つとタイミングが重なっている。大統領ジョー・バイデンは対立が深まる両国の関係を「安定化」させようとしていると語り、11月に行われた中国国家主席・習近平との首脳会談では協調のための手段を探った。

アメリカの情報当局者たちは、ロプノール基地の復活を何年も前から監視していたとする一方で、建設活動が進んでいるのは明らかだが、その目的はよくわからないと話す。中国が核実験の準備を進めている可能性があることは、情報当局者たちも認めている。

ただ、アメリカかロシアが先に核実験を行わない限り、習近平にはそれ以上先に進む意図がない可能性もあると言う。必要になったとき中国が迅速に動けるよう深い縦坑を掘ることでリスクヘッジしている可能性がある、というわけだ。

中国外務省は先日、ロプノールの改修工事に関する質問に対し声明文を発表。「影をつかもうとしているようなもので、根拠もなく『中国の核脅威』をあおっている」と非難し、中国が核兵器実験の準備を進めているという主張は「この上なく無責任」だと述べた。

さらに中国外務省は、核実験禁止条約を遵守するという中国政府のコミットメントも強調した。中国は「核兵器を包括的に禁止し、根絶するという崇高な野心を実現するために、いかなる努力も惜しまない」と、同省は述べている。

ウイグル自治区で核実験が行われる意味

中国極西部の乾燥地帯、新疆ウイグル自治区にあるロプノールは、バージニア州とほぼ同じ面積を占める広大な軍事基地だ。中国当局はこの地域が核実験場に選ばれた理由を、定住者のいない隔絶された不毛地帯であるためだと説明している。

だが、ロプノールを含むより広範囲の新疆ウイグル自治区には、大部分がイスラム教徒であるウイグル族が住んでいる。彼らは近年、中国政府による集団拘束と徹底した治安管理に耐えてきた。

ウイグル族は、原爆をつくるという毛沢東の決定を受けて1964年に始まったロプノールでの核実験がもたらす健康への脅威に長年抗議してきた。初期の一連の核実験ではキノコ雲が発生し、放射性物質が降り注いだ。中国が地下核実験を初めて行ったのは、1969年のことだ。

中国の地下核実験では当初、浅い横坑が使われていた。とくに大規模な爆破実験で致死的な放射線を確実に封じ込めるのに十分な深さの縦坑を掘削したのは、だいぶ遅かった。そうした縦坑での最初の実験は、1978年に実施された。

冷戦後、ロプノールでの大規模爆破実験は行われなくなり、同基地は比較的注目されない静かな場所となった。

そうした状況が変化し始めたのは2012年、習近平が権力の座についてからだ。習近平は2015年末に創設したロケット軍を、自らが達成した栄光の1つと考えていた。中国の核兵器を管理するこのエリート組織は、自国をアメリカに対抗する大国に引き上げるという習近平の野望を体現するものとなった。

振り返ってみれば、習近平の政治的躍進とロプノールの再生は連動していたことがわかる。

核専門家たちは、中国の核実験が間近に迫っていることを示す兆候はなく、中国政府は何もしない可能性があると主張している。ロプノール軍事基地の再建は西側諸国に対する単なる警告かもしれない、とする見方だ。中国の専門家も、同様の見解を示している。

これに異を唱えるアナリストもいる。彼らは、中国の新しい爆撃機や潜水艦の部隊、および一連のミサイル格納庫は、新たな軍備増強の前触れだと論じている。

現在のペースで軍備増強が進めば、中国は2035年までに1500発の核弾頭を配備することも可能だとアメリカ国防総省は予測している。その数は、中国が過去半世紀以上にわたって保有してきた「最小限の抑止力」の5倍に相当する。

アメリカ側の専門家たちによると、中国の科学者は現在、そうした軍備増強に最適と思われる特定の兵器の開発計画を進めており、爆破実験から多くのことを学ぶとみられる。

核弾頭の小型化で中国の兵器はより強力に

中国が最も望んでいるのは小型化だと専門家たちは言う。標的をピンポイントで狙う、より正確な新型ミサイルがあれば、中国の科学者たちは核弾頭の威力やサイズ、コストを引き下げることができる。

専門家たちによると、小型化が実現すれば、中国の潜水艦ミサイルを一段と強力なものにすることも可能だ。小型化はさらに、ジグザグに動いてアメリカの防衛網をすり抜ける極超音速ミサイルの開発にプラスとなる可能性もある。

アメリカ側の専門家たちはロプノールの近代化を、中国がどこまでやる気なのかを示すサインだと見ている。

「中国がこれまで(核兵器実験で)保守的な姿勢を維持していたことを認識する必要がある」と、中国の核実験プログラムを長年研究してきたロスアラモス国立研究所の元所長、テリー・C・ウォレスは言う。「それが変わりつつあるのだ」

(執筆:William J. Broad記者、Chris Buckley記者、Jonathan Corum記者)

(C)2023 The New York Times

https://toyokeizai.net/articles/-/726029

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