中国に行動求める 新疆で「深刻な懸念」―国連人権弁務官
- 2023/3/8
- ウイグル情勢

時事通信 2023/3/8
【ジュネーブAFP時事】国連のトゥルク人権高等弁務官は7日、中国・新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念」を表明し、中国に問題解決のための行動を求めた。昨年10月の就任後、国連人権理事会での初の本格的な演説で中国を批判した。新疆を巡っては、トゥルク氏の前任者だったバチェレ氏が退任間際の昨年8月末、人道に対する罪の恐れがある人権侵害が行われていると指摘した報告書を公表していた。
トゥルク氏は演説で「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は新疆に関し、とりわけ大規模な恣意(しい)的拘束、進行中の家族離散といった深刻な懸念を記録してきた」と強調。ウイグル人やチベット人など少数派の保護について警鐘を鳴らした。
また、中国での市民への言論統制や、2020年に施行された香港国家安全維持法についても言及。「人権活動家や弁護士の恣意的拘束を含む、市民空間における厳しい規制に対する懸念」も表明した。
中国の陳旭・駐ジュネーブ国際機関代表部大使はトゥルク氏の演説を受け、中国政府のテロや過激主義との闘いの結果、新疆では人権が「よく守られている」と反論。新疆とチベットは「持続的経済成長、調和と安定した社会、全ての宗教の平和的共存」を享受していると主張した。
一方、米国のテイラー大使は「新疆での甚だしい、進行中の人権侵害」に対し人権理事会が行動を取るよう要求。英国のマンレー大使も「事実の否定をやめ(OHCHRの勧告に)真剣かつ建設的に取り組むよう」中国に呼び掛けた。
バチェレ氏が公表した報告書は、広範な拷問、恣意的拘束、信教や子を産む権利の侵害など新疆のウイグル人や少数派イスラム教徒に対する人権侵害を認定した。欧米諸国は昨年10月、報告書について人権理事会で討論を行うよう動議を提出したが、中国のロビー活動を受けた国々が反対に回り、否決された。
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