記者会見のお知らせ 「ウイグル人らに対する大規模監視および深刻な人権侵害を助長する日系企業の技術と責任」
- 2023/1/13
- お知らせ
報道機関各位
ウイグル人らへの深刻な人権弾圧の一部を構成する大規模監視に関わったとして米国が制裁対象にした中国の監視カメラ大手企業『ハイクビジョン』の監視カメラを分解調査した結果、その監視カメラに複数の日系企業が部品を供給していることを確認しました。
日本ウイグル協会は、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウとともに、対象の企業へ質問状を送付し、ほとんどの企業から回答を得ました。その回答を受けて作成した報告書と日本企業に対する声明を発表するため、下記のとおり記者会見を開催致します。
PDF版プレスリリースはこちら:jua-hrn-pressrelease20230113.pdf
記
日時:2023年1月19日(木曜日)午前10時30分より
場所:衆議院第2議員会館 第8会議室
参加申込先:日本ウイグル協会(info@uyghur-j.org)
入館証が必要な方は、お名前と所属を記載の上メールでお申し込みください。
入館証を持っている方は、直接会場にお越しください。
出席者:阿古智子(東京大学教授)、伊藤和子(HRN副理事長)、レテプ・アフメット(日本ウイグル協会副会長)ほか
【背景】
ウイグル人等のチュルク系民族への組織的弾圧については、ジェノサイドや人道に対する罪に相当する深刻な人権侵害であるとの国際的な非難が上がっています。
これらの広範囲で組織的な人権侵害行為は、「一体化統合作戦プラットフォーム(IJOP)」と呼ばれる大規模監視システムによって支えられています。中国政府がウイグル人らをIJOPで常時監視し、大量に収容所へ送り込んでいる実態が、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した内部文書で明らかにされています。公開された内部文章では、IJOPの通報により、わずか一週間で約二万四千の“疑わしい人物”を検出し、約一万五千人を収容所に送った恐ろしい実態が記載されています。
セキュリティと映像監視に関する世界有数の調査会社IPVMのリポートによると、昨年流出した大量の内部文章「新疆公安ファイル」に含まれる画像解析からIJOPが収容者を割り出す際に、ウイグル人の判別に『ハイクビジョン』のカメラを使っていることが確認されています。私たちは、実際にIJOPが使用していたものと同種の『ハイクビジョン」の監視カメラを分解調査し、複数の日系企業が部品を供給していることを確認しました。
監視システムによって大規模収容が行われていることに鑑みれば、当該監視システムへの技術・部品の供給は、これらの深刻な人権弾圧行為を加担・助長するものと言えます。また、『ハイクビジョン』は、ウイグル人の人権侵害を理由に米国政府から禁輸制裁を受けている(「エンティティー・リスト(EL)」に掲載されている)企業であり、米国政府は更に厳しい制裁である「特別指定国民(SDN)」リストに掲載することも検討していると報じられています。このような状況の中、技術や部品を供給することは、『ハイクビジョン』に制裁逃れの手段を提供し、ウイグル人への大規模監視を終わらせるための努力に水を差すことになり、ジェノサイドや人道に対する罪に相当すると指摘されるウイグル人への深刻な人権侵害を助長することに繋がると考えます。
国際社会から問題視されている深刻な問題だけに、それを支える監視システムへの技術・部品供給が確認されている企業が重大な説明責任を負っているのは明らかです。また、国連人権理事会が2011年に採択したビジネスと人権指導原則に基づき、日本企業の技術が非人道的犯罪に加担することを阻止するための輸出管理規制法整備も求められています。
今年1月6日には、企業によるサプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等の促進を目的に、ガイダンス、報告書、ベストプラクティス、教訓、法令、政策、執行実務などについて相互に情報共有するための「サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース」が設置されました。企業の予見可能性を高め、企業が積極的に人権尊重に取り組める環境の整備に向けて、国際協調を一層加速させることが求められています。
【本リリースに関する問い合わせ先】
特定非営利活動法人 日本ウイグル協会
Tel:03-5615-9597 MAIL:info@uyghur-j.org