【中国・ウイグル問題】「子宮内避妊具を装着」「強制的に卵管を縛る…」中国共産党が推進する同化政策・強制不妊の実態とは…日本ウイグル協会・会長が訴え
- 2026/2/9
- ウイグル情勢

NEWSポストセブン 2026.02.08 06:56
中国・新疆ウイグル自治区に関する「ウイグル問題」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。中国当局がウイグル自治区内のウイグル人に対して「テロ対策」などを名目に、大規模な同化政策、弾圧を行っていることを指す。しかし日本に入ってくる情報は限られており、実情を把握している人は少ない。
中国当局によってウイグル人へ行われている強制避妊手術、強制収容施設や親戚制度の存在、AIによる行動監視──現地では、耳を疑うようなことが横行しているというのだ。
日本で問題の周知活動を行う「日本ウイグル協会」のレテプ・アフメット会長に聞いた。【全4回の第1回】
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中国当局が圧力を強める大きな転機となったのは、ウイグルの中心都市・ウルムチで2009年に行われた抗議活動を発端とした、ウイグル人と漢族の大規模な衝突だった。
同年6月、中国広東省の玩具工場で中国人がウイグル人労働者を襲撃し多数の死傷者が出た。この事件について当局側の正式な説明を求めるため、同年7月には大学生を中心としたウイグル人1000人程度が市の中心部の人民広場に集まり抗議デモを開催。すると、人民解放軍や武装警察が動員され、非武装のデモ隊へ発砲を開始したのだ。デモ隊と当局の衝突は関係のない街の住民や商店への襲撃にも発展し、多くの死傷者が出る結果となった。当局の発表では死者約200人、負傷者1600人で、被害者は漢族が多かったとされているが、ウイグル族の被害はさらに大きかった可能性があると指摘する声もある。
中国当局はこの事件についてウイグル側の「組織的なテロ」と一方的に断定。国内でのウイグル族の独自性を尊重する声は影を潜め、教育現場でのウイグル語の排除、イスラム教徒の慣習であるヒジャブの着用や公共の場での礼拝を禁止するなどの同化政策が進められることとなった。
さらに事態が悪化したのは、チベット自治区トップを務めていた陳全国(ちん・ぜんこく)が新疆ウイグル自治区トップに就任した2016年秋だ。陳氏は苛烈な同化政策に西側諸国からの批判が高まり、後に左遷されたことでも有名だ。

強制収容されたウイグルの人々(日本ウイグル協会提供)
「陳全国の就任から数か月も経たないうちに、ウイグルの至るところに強制収容施設が建設され、半年から1年という短い期間で数百万というウイグル人が連れていかれました。それっきり今も帰ってこない人が大勢います」とアフメット会長は振り返る。
このような中国当局による行為は、在外ウイグル人たちによる訴えをきっかけとした欧米研究者やメディアを中心とした調査で徐々に明るみに出ることになった。中でも世界に衝撃を与えたのは「職業技能教育訓練センター」と称する「強制収容施設」の存在や、「強制不妊処置」などの極めて非人道的な政策だ。
「ある日突然、中国当局の人間が家にやってきて家族の誰かを連れていき、その後一切の連絡が取れなくなるんです。強制収容施設に連れていかれた人たちには朝から晩まで徹底的な洗脳が行われます。習近平や中国共産党への忠誠を誓い、ウイグルの独自の言語・伝統・文化・生活習慣をすべて捨てることを強制される。
収容施設で半年から数年、思想教育を強いられた人たちは、今度は工場に移されて強制労働をさせられる人もいれば、中国各地の街に秘密裏に移送されてそれっきり消息を絶ったという人もたくさんいます」(同前)
姿を消した人の多くは、軍の病院が集中するところに送られており、現在中国で一大闇ビジネスになっているといわれる臓器売買の犠牲になっている可能性もあるという。
NEWSポストセブンでは、イギリスに亡命した元外科医のウイグル人男性が、ウイグル自治区内の処刑場で右胸を打たれたもののまだ息のある男性の体から、臓器を摘出する処置を命じられたと証言した記事(※リンク)を報じている。

強制的に衣服を切り取られるウイグル人女性(日本ウイグル協会提供)
アフメット会長は、中国当局の地方の役人がとんでもない“ノルマ”を課せられていると話す。
「役人は『来年はウイグル人の人口の増加率を○%に制限します』という目標基準を中央から設定されているんです。その手段としてウイグルの女性たちに強制的に不妊手術を行うのです」
協会のホームページには、オランダに亡命したウイグル出身の50代女性の生々しい証言が掲載されている。
証言によると、2017年、中国当局から「18~50歳の女性は全員、指定病院で健診を受けてください」と通知があったという。この女性が病院に行くと、子宮内避妊具(IUD)を装着された。出血がひどく、看護師に頼んでこっそり外してもらったが、2018年に再び健診名目で集められ、再度IUDを装着。この時も出血が止まらず入院を余儀なくされ、最終的に器具は取り外された。
2019年春には3度目の通知が届いた。対象年齢は18~59歳に広がり、今度は卵管を縛る卵管結紮(けっさつ)手術を求められたという。「私はもう50歳だから不要だ」と拒否したが、当局からは「断れば家族も拷問を受け、収容所に送られる」と脅され、手術以外の選択肢はなかったという。結局女性は各居住区から集められた100人以上の女性たちと共に4時間の待機の末に処置を施された。
「こうした情報は決して隠されていたわけではありません。中国当局が国内で公開していた資料を詳細に分析することによって、ある地域ではウイグル人の出生率が7〜8割減少しているといった事実が判明しました。現地の役人は、いつ・どの町で・何人のウイグル人女性に避妊手術を受けさせたのかということをデータとして発表し、『一生懸命努力してこれだけウイグル人を減らしました』と中央にアピールしているんです」(同前)
ウイグルで起きているのは、不妊手術のように直接的に人口を減らす行為だけではない。苛烈な監視体制を敷き、“文化を壊す”様々な施作も行われているというのだ──。
https://www.news-postseven.com/archives/20260208_2090858.html























