中国の圧力で英大学がウイグル強制労働研究中止 教授「学問の自由侵害」、警察が捜査検討
- 2025/11/5
- ウイグル情勢

産経新聞 2025/11/5 17:11
【ロンドン=黒瀬悦成】英中部のシェフィールド・ハラム大が中国当局の圧力を受け、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の強制労働に関する学内研究を中止させていたことが分かった。研究を主導していた同大のローラ・マーフィー教授は4日、産経新聞の取材に応じ、大学の対応は「学問の自由の侵害だ」と非難した。警察のテロ対策班は、大学の行為が外国情報機関への協力を禁じた国家安全保障法に抵触する可能性があるとして、捜査するか検討を始めた。
多数の報告書を発表
マーフィー氏はウイグルでの強制労働と世界的なサプライチェーン(供給網)との関連に関して多数の報告書を発表し、国連機関や各国政府に参照されてきた。大学当局も同氏の活動に好意的だったという。
ところが、2023年11月から米国土安全保障省に政策顧問として出向していた同氏が今年2月に大学に戻ったところ、大学当局から強制労働や中国に関する研究を一切許可しないと言い渡された。
同氏が大学の措置を不服として弁護士を雇って異議を申し立て、長期間のやり取りの末に訴訟する意向を伝えたところ、大学当局は「行き違いがあった」などと謝罪し、研究の継続を認めたとしている。
弁護士が情報公開請求によって入手した内部文書によると、24年4月と7月に中国の公安当局者が北京にある同大の事務所を訪れ、職員に対してマーフィー氏によるウイグルでの強制労働に関する研究を中止するよう繰り返し要求した。
「反中勢力の前衛」と批判
中国外務省は、以前からマーフィー氏が所属する同大の研究機関、ヘレナ・ケネディ国際正義センターを「反中勢力の前衛」と名指しで批判。22年8月からは同大のウェブサイトが中国国内から閲覧できなくなり、中国人学生の募集活動などに支障が出ていた。
同大は一連の事態を受け、発表予定だったマーフィー氏の研究報告を公表しないことを決め、24年9月に中国当局にその決定を伝えた。すると同大サイトの閲覧制限が解除され、北京の同大職員への脅迫や嫌がらせもなくなるなど「(中国当局との)関係が一気に改善した」という。
マーフィー氏は「大学とは知識生産の生命線であり、崇高な責任と使命を帯びている」と指摘。その上で「もし中国当局が再びサイトを遮断したり大学職員を脅迫したりした場合、大学がどう出るかが心配だ」と述べつつ「今後も研究は続けていく」と言明した。
一方、同大の広報担当者は産経新聞の取材に対し、研究を中止させた当初の決定は「中国での商業的利益に基づくものではない」と主張。24年度に入学した留学生4204人のうち、中国出身者は73人に過ぎないとした。また「当大学は職員の学問の自由を守り、必要とあれば断固として擁護する」と強調した。
https://www.sankei.com/article/20251105-UZQBYXPK5NLGJESKHWOXNXJH6I/























