ウイグル等における人権侵害を念頭にした参議院決議の採択に関する声明
- 2022/12/8
- 声明

2022年12月5日、参議院本会議において、ウイグル等における人権侵害を念頭にした非難決議が、賛成多数で採択されました。
私たち日本ウイグル協会は、中国によるジェノサイドの犠牲に遭っている当事者として、ウイグル問題で日本国国会が一定の国家意志を示したことを歓迎し、国会決議の実現にご尽力くださった「日本ウイグル国会議員連盟」をはじめとする関係議連や議員の方々に深く感謝します。
この国会決議は、2月1日に衆議院で採択された決議と同じく、中国へ配慮し、欧米諸国の決議やウイグルジェノサイドの実態に即した表現からほど遠い文言での採択にはなりましたが、それでも「ウイグル」を明記した決議が衆議院本会議と参議院本会議の両方で採択されたことは歴史的前進であり、過去になかった重要な一歩だと考えます。東トルキスタン国民はこの歴史的一歩を忘れることはありません。
決議の文案について、一部の政党や議員らが中国への配慮を極限まで仕込んだにも関わらず、中国側は「国際法及び国際関係の基本準則への重大な違反を犯した」「人道に対する重大な罪を犯した」と日本を激しく非難しており、その配慮が無意味であったと押し返しています。
世界を見ると、欧米諸国が、ウイグル問題で中国に責任を負わせる取り組みを進めてます。これまでに、アメリカ政府、欧州議会、イギリス議会、フランス議会、カナダ議会、オランダ議会、ベルギー議会、リトアニア議会、チェコ議会、アイルランド議会が、ウイグルジェノサイド(或いはその深刻なリスク)を認める決議を採択しています。また、アメリカ、イギリス、カナダ、欧州連合がウイグル問題で一斉に制裁を発表しています。(G7の中では、日本以外の全ての国)
今年8月31日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が報告書を公表し、中国のウイグル人に対する侵害行為は「人道に対する罪を含む、国際犯罪の遂行」に当たる可能性があると公式に認めました。今年10月31日、国連総会の会合で日米英など50カ国がウイグル人の人権状況に「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表し、11月24日には、国連人権委員会が中国に対し、拘束されているウイグル人を解放するよう求め、被害者に「救済と賠償」を提供するよう勧告しました。
そして、日本国民の間でも、日本政府に対応を求める声が高まっており、私たちが把握しているだけで、日本全国31の都道府県から102の地方議会がウイグル問題で意見書採択し、国に対応を求めてきました。
今回の決議は、日本政府に対して、深刻な人権状況の全容を把握するための情報収集を求めると同時に、国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施することも求めています。
私たちは、在日ウイグル人の被害状況等具体的な事例や情報提供にいつでも協力しますので、国際人権問題担当内閣総理大臣補佐官の中谷元先生をはじめとする関係者がヒアリングや公聴会等を定期的に開催し、この問題に積極的に関与していくことを望みます。また、国会が今後も継続的にこの問題に関与し、欧米諸国と連携し、問題解決を中国に迫る行動を起こすことをお願い申し上げます。
2022年12月8日
日本ウイグル協会