ウルムチ事件12周年に際しての日本ウイグル協会からの声明
- 2021/7/5
- 声明

中国人への同化や強制労働の目的で東トルキスタンから中国本土各地へ強制移送されらウイグル人の若者たちが、移送先で差別や虐待を受け、更には中国人市民らに無差別に襲撃され殺害される事件が起きたこと(2009年6月26日広東省韶関市の工場で発生した6.26事件)へ抗議し、2009年7月5日、東トルキスタンのウルムチ市でウイグル人大学生らを中心とした平和的なデモ行進がありました。
デモ行進を行った大学生らは、6.26事件でウイグル人に対する無差別襲撃を行った中国人らが罪に問われることもなく、政府側から何の正式な見解もないまま放置されたことについて説明と公正な法の裁きを求めていました。
しかし、デモが始まって間もなく、中国当局は6.26事件を説明するどころか、武装警察や軍隊を動員し武力で解散させようとしたため、平和的なデモが衝突へ発展してしまいました。武装警察や軍隊が直ぐに学生らに発砲し、抗議デモが残酷に鎮圧され、数千人ものデモ参加者が銃殺され、無差別に拘束された数万人もの人々が行方不明となりました。
このウルムチ虐殺事件から12年が経ちました。事件当時の現場からの生の証言や、事件後の強制失踪の実態に関する情報はこちらをご参照ください。
その後もウイグル人に対する非人道的扱いが激しさを増す一方です。特に、2017年以降東トルキスタン全土が収容所化し、民族の独自文化や伝統を守って生活するだけで犯人扱いされるようになり、想像を絶する監視と恐怖政治に怯えて暮らす悪夢のような事態が起きています。300万人を超える罪にの無いウイグル人らの強制収容や大規模な不妊手術の強制キャンペーン等、ウイグル人社会を滅ぼす意図を持った非人道的犯罪行為が国策として実施されているのです。私たち日本在住のウイグル人たちも、家族との連絡も取れず、故郷に帰ることもできない状態が続いています。親の安否が気になり危険を冒して一時帰国した在日ウイグル人女性は、帰国後に収容され、拘束中に死亡した事例も報道されています。
ウイグルで起こっている悪夢を終わらせるために、世界各国の政府・議会が相次いでこれを国際法上犯罪となるジェノサイドと認定し、責任を負わせる取り組みを進めています。今年に入ってから、アメリカ政府、カナダ議会、オランダ議会、イギリス議会、リトアニア議会、チェコ議会、ベルギー議会外交委員会、ドイツ議会人権委員会等が相次いでジェノサイドや人道に対する罪に認定をしました。ニュージーランド議会やイタリア議会も非難決議を採択しています。また、先進7カ国(G7)の中では、日本を除く各国がウイグル問題で制裁に踏み切りました。国際法や人権問題の専門家たちも相次いで独自の調査報告書を発表し、ウイグルで起こっていることをジェノサイドや人道に対する罪に当たると結論付け、国際社会に行動を求めています。
私たちは、中国当局がウルムチ事件当日とその後の無差別拘束で犠牲になった全ての尊い命の責任を負うことを求めます。そして、現在進行中のウイグル人に対するジェノサイドを直ちに止め、国際的な調査団を受け入れるよう求めます。また、日本政府がウイグル人に対する非人道的行為を黙認せず、明確に非難し、止めるべく行動をとるようお願い申し上げます。
2020年7月5日
日本ウイグル協会