「2009年7月5日 ウルムチ虐殺で何が起きたか」

アフメット会長 ウルムチ事件記者会見内容:「2009年7月5日 ウルムチ虐殺で何が起きたか」

2024年7月4日、東京四谷の会議室にて行われました記者会見にて、日本ウイグル協会レテプ・アフメット会長は、「ウルムチ虐殺で何が起きたか」というテーマで以下のような報告を行いました。

まず、アフメット会長は、このウルムチ虐殺は、事件そのものは報道されているけれど、その背景や本質はほとんど語られておらず、中国政府の「ウルムチ暴動」という誤った宣伝がそのままうのみにされていると指摘しました。

その上で、事件の背景として、中華人民共和国建国当時は、ウイグルにおいて中国人の人口は5%未満に過ぎず、それまでのウイグルは歴史も文化も中国とは全く別のものだったことを指摘しました。中国共産党が当初から行ったのは、とにかく中国人を移民させることだったと述べました。そして、中国人の人口が増加すればするほど、当然のことながらウイグル人は住む場所も仕事も狭められていくことが問題の発端であると述べました。

そして、2009年、中華人民共和国建国から60年間、さまざまな手段でウイグル人を中国に同化させようとしてきたが、ウイグル人は決して中国の価値観を受け入れず、魅力を感じなかった。その後中国は暴力的にウイグル人のアイデンテイテイを奪う、破壊する政策をとることになり、その一つの象徴がウルムチ事件であるとアフメット氏は指摘しました。

当時中国政府は、①ウイグル語の教育を学校現場から廃止していく(2002年には大学から、2009年の段階ではもう小学校や保育園においても廃止)②若者、特に女性の中国内陸への強制連行と強制労働(2005年に若い未婚女性を中心に、年間10万単位で労働職として中国沿岸部へ強制的に連行し労働に従事させる)③ウイグル文化の中心都市というべきカシュガルの市街地の取り壊しなどを行っており、その結果として④6.26事件が起きたと分析しました。

このうち③④について、アフメット会長は、地域の役人が、本人の同意なしで各地区何人という「ノルマ」で、若い未婚女性を労働力として動員し、事実上の強制連行・強制労働を行ってきた。女性たちが従わなければ、結婚証明書を出さない、罰金を科す、農地を没収するなどの弾圧が加えられていたと述べ、その結果、2009年6月26日、広東省の玩具工場で、ウイグル人従業員が中国人によって殺害されるという事件が起きてしまった。これはウルムチ事件の発端となったと述べました。

そして、アフメット会長は現場のいくつかの映像を紹介しつつ、この殺害事件に抗議してウルムチでウイグルの若者たちが抗議デモを行ったけれど、写真や動画で明らかなように、彼らは手に何の武器も持っていなかった。しかし、この平和的なデモに対し、中国側は、ウイグル人が襲撃され殺された事件への正当な調査と犯罪者の処罰を求めただけの抗議者に対し、代表者との話し合いにも応じないばかりか、直ちに軍隊を導入、発砲して弾圧にかかり、それに対してウイグル人の怒りが爆発し、1万人規模のデモが起きたが、中国軍はこれを徹底的に弾圧した。中国政府の発表でも死者は200人、負傷者1700人、3000人以上が逮捕され、33人が処刑された。そして、ウイグル人関係者の調査では、無差別発砲で3000人が死亡、1万人が行方不明になっている。

中国側は、これを計画された組織的な「暴動」だと言っているが、平和的なデモを武力で弾圧としたことを全く隠蔽しているとアフメット氏は批判し、さらにこの事件後、ウイグル人が無差別で拘束したとアフメット会長はこれも映像を紹介しながら説明しました。中国政府はこのような背景や事実を全く認めず、たまたま巻き添えになった中国人がけがをしたという映像ばかりを流している。このような全体を見ないで、中国側の「暴動」という言葉をメディアが使うことは、中国のプロパガンダを利することになるとアフメット会長は指摘しました。

こうして、ウルムチでは男性がほとんど逮捕されてしまう状況となり、これに対し、夫や子供を返してくれ、という抗議が女性によって行われた。まさに命を懸けた抗議だったけれど、中国側はそれにも銃を向けた。その後、今度は中国人の暴徒が『ウイグル人を見つけたら殴り殺せ」と、街中で武器を持ってウイグル人に襲い掛かり、中には木に登って逃げようとしたウイグル人を引きずりおろして暴力を加えた。しかし、中国警察はこの暴挙を取り締まろうともしなかった。

このような無差別拘束などで、ウイグル人1万人が行方不明になったとされており、国際的な人権団体であるHRWも事態の深刻さを伝える報告をしている。その後、ウルムチの女性たち、とくに母親が、行方不明になった子供を救おうと、現地の警察に何度も訴えに行き、相手にされなければ北京まで赴いて息子を探そうとした。しかし、何の効果も得られず、多くの母親が絶望していく中、ある母親は2014年まで、あきらめることなく、何度も訴えを繰り返し、北京から警察に連れ戻されても訴えをやめなかった。その母親は2014年5月に逮捕されてしまい、今も「行方不明者の母」としてウイグルでは尊敬されている。毎年6月になると、子供を天安門事件で失った「天安門の母」のことは話題になるが、この「行方不明者の母」のことは正直話題にもならないのが、今のウイグルの実情だとアフメット氏は述べました。

そして、中国はこの後、ウイグル語のサイト約200か所を閉鎖、管理者を拘束して情報を遮断した。中国は現在に至るまで、以上のような事件の真相と拝啓を隠し続け、警察はさらに超法規的にウイグル人を逮捕することができるようになり、それは今の収容所にもつながっている。このすべての責任は中国政府にあるとアフメット会長は批判し、同時に、国際社会がこの事件を「暴動」と呼ぶ中国のプロパガンダに騙され、事件の真相調査や、中国の弾圧に対する抗議や制裁を行わない現状をも問題であると指摘し報告を終えました。

詳細な内容は以下のURLでご覧ください。
https://youtu.be/B3yc7ob0mlM?si=IWWGk8-XHCn9XV1p

在日ウイグル人証言録

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