強制移住
- 2012/1/8
- お知らせ
東トルキスタンではさまざまな手段による民族浄化が行われているが、二〇〇六年からはこれに新たな政策が加わった。
「貧困からの救済」という名目で、数十万人単位のウイグル人の農民が、中国内地へ移住させられる予定だという。しかし本当に貧困からの救済を目的とするのならば、まずは自分達の土地東トルキスタンにおける、「少数民族」に対して不利な就業状況を改善すべきであろう。更に、移住の対象とされているのが都市部ではなく農村部の人間であるのは、彼らの教養が低く、従順で、たやすく洗脳できると目論んでいるためと考えられる。また、古くからのウイグル人の伝統や純粋なウイグル語は農村部、特に東トルキスタンの南部において良く保存されている。中国政府が行っている同化政策に対しては、この南部東トルキスタンの農民達が、ウイグルの文化的アイデンティティの最後の砦であるといえる。その継承者である若者を移住させることによって、後憂を取り除こうとしているのではないだろうか。
また、若くて未婚のウイグル人女性が、「労務対策」のためとして、組織的に大量に強制移住させられている。二〇〇六年から二〇一〇年の五ヵ年で、四〇万人の若い未婚女性を中国内地の沿岸都市部に送り出すことを目標としている。対象の村には「各戸から五年以内に最低ひとりの域外就労を」といったスローガンが掲げられるなど、実質的なノルマ制がとられ、女性が地元に逃げ帰ってきた場合には、三千~五千元の罰金が科せられるという。内地の都市部に移住した彼女らは廉価な労働力として奴隷のように酷使され、あるときには性奴隷として売春を強要されるという。ウイグル人の人口八〇〇万人に対し、一六~二五歳が主だといわれる若い未婚の女性を四〇万人も域外に移住させるということは、ウイグル人男性との婚姻を抑え、漢人男性との通婚を促進するための政策であると考えられる。