ヒルトン、マリオット…中国ウイグル自治区に外資ホテル189施設、人権団体が撤退を要望
- 2025/4/19
- ウイグル情勢

産経新聞 2025/4/19 07:30
中国・新疆ウイグル自治区で、ヒルトンなどの外資系ホテルチェーンが計189施設を営業するなどしているとの報告書を17日、米首都ワシントンに拠点を置く人権団体ウイグル人権プロジェクト(UHRP)が公表した。英紙ガーディアンによると、人権団体は、外資系ホテルの存在が中国当局によるウイグル人弾圧の正当化に力を貸していると主張し、撤退を求めている。
破壊したモスク跡地にも建設
報告書は、ウイグル人の居住地域で国際的なホテルチェーンが営業する115ホテルを特定したとし、他にも少なくとも74施設が建設中または計画段階にあるとしている。
国際的なホテルチェーンには、ヒルトンやマリオット、IHGグループ、ウィンダム、アコーなどが含まれる。このうち、ヒルトン、IHG、ウィンダムの3社は、準軍事的政府組織とされる新疆生産建設兵団(XPCC)の管轄地でホテルを運営し、税金や手数料を支払った可能性があるという。XPCCは、米国、英国、欧州連合(EU)などから「少数民族に対する重大な人権侵害」を理由に制裁措置が科せられている。
また、最近オープンしたヒルトン系列のホテルは、中国当局が取り壊したモスク(イスラム教礼拝所)の跡地に建設されたという。
「幸せで繁栄した場所」で人権侵害は起こらない
ガーディアンによると、ホテルの数は中国政府が「観光地」として新疆ウイグル自治区の振興を図るようになったのと同時期に急増した。中国国営メディアは、2024年に新疆ウイグル自治区を訪れた外国人観光客は約500万人に上り、前年比50%増だったと伝えたという。
ウイグル問題に詳しい米ローズハルマン工科大のティモシー・グローズ教授は、「観光客をひきつける新しいホテルの建設によってウイグル人の生活が改善する可能性は低い」と指摘する一方、中国当局による「幸せで繁栄した場所では人権侵害は起こりえない」というイメージを植え付けようとする戦略は「残念ながらある程度成功しているようだ」とガーディアンに語っている。
>「中国のジェノサイドは続いている」 世界ウイグル会議が国際社会の関心低下に危機感
https://www.sankei.com/article/20250419-LEDU3NZO4NCT3NHZTXAB5MEQRE/