「残酷な扱い受ける可能性」タイから中国へのウイグル難民送還 人権外交議連が非難声明案
- 2025/3/6
- ウイグル情勢

産経新聞 2025/3/6 12:36
タイ政府が10年以上拘束していた中国新疆ウイグル自治区出身者40人を中国に強制送還した問題を巡って、人権外交を超党派で考える議員連盟は6日、国会内で総会を開いた。中国に送還された40人について「残酷で非人道的な扱いを受ける可能性が高い」として、タイ政府の行動を非難するとともに、中国政府に対し40人の人権保障を求める声明案をまとめた。
「大変残念に思う」
共同会長を務める逢沢一郎衆院議員(自民党)は冒頭、「こういった事態になったことを大変残念に思う。中国に送還されたウイグル人がどういう状況に置かれているのか」と懸念を示した。
議連は1月17日に岩屋毅外相に対し、タイ政府にウイグル人難民が送還されないよう働きかけを求めていた。今回の声明案では政府に対しては国際機関と連携し、40人の状況について情報収集するなど外交努力を訴えた。
中国政府「帰国後は通常の生活」
ウイグル人難民40人を巡っては、タイ政府は2月27日に中国に送還したと明らかにした。
2014年に中国当局の迫害を逃れた約300人のウイグル人難民の一部で、タイに不法入国したためタイ当局が拘束。中国政府はウイグル人難民について中国で犯罪に関与したとして送還を求めていた。
今回、中国政府は40人について不法出国という軽微な罪を犯しただけであることが確認されたといい、中国に帰国後は通常の生活に戻ることが許可され、タイ側にも定期的に監視させる用意があるとしている。
タイ政府も40人について監視と調査を継続するとし、プームタム副首相兼国防相は2月27日、中国側から送還後に拷問や訴追の心配はなく、適正に取り扱うと確約する文書を受け取ったと強調した。
「その言葉に信憑性はない」

人権外交議連で共同会長を務める自民党の逢沢一郎衆院議員(左)
議連の会合では、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のヤルクン・ウルヨル中国担当調査員が一連の経緯を報告し、「中国政府もタイ政府も『送還されたウイグル人が処罰されることはない』といっているが、その言葉に信憑(しんぴょう)性はない」と指摘した。
「送還された人々に対する制限のない直接のアクセスを求めるべき」と述べ、40人について国連機関などが継続的に接触する機会の確保を訴え、タイの施設で引き続き拘留されたままのウイグル人難民について「決して送還されないように圧力をかけるべき」と訴えた。(奥原慎平)
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>「懸念を伝達してきたが…」岩屋外相、タイ政府のウイグル人中国送還
https://www.sankei.com/article/20250306-XK7EMMKA5VDC3JMHXMQ55VFT3U/