「ウイグル人の命と経済支援引き換えか」タイ政府の難民40人の中国強制送還 協会が非難
- 2025/3/1
- ウイグル情勢

産経新聞 2025/2/28 14:01
日本ウイグル協会は28日、タイ政府が10年以上拘束していた中国新疆ウイグル自治区出身者40人を中国に強制送還したことについて、声明を出し、40人について中国で迫害される恐れが極めて高いとして、タイ政府の対応について「ウイグルジェノサイドへの加担で共犯者だ。民主主義社会の価値観に対する侮辱でもある」と非難した。
日本の議連も懸念
送還された40人は2014年に中国当局の迫害を逃れた難民の一部で、タイ政府は第三国への渡航を許可しないままバンコクの施設に収容していた。15年には国際人権団体などが反発する中、そのうち109人を中国に強制送還した。109人の消息は不明となっている。
今年1月8日にタイの移民官が収容ウイグル人に対し中国への送還を希望する書類への署名を求めたことが報じられ、送還を模索するタイ政府を牽制(けんせい)する動きも強まっていた。日本の「人権外交を超党派で考える議員連盟」や「ウイグル国会議員連盟」も岩屋毅外相に対し、送還されないようタイ政府への働きを求めていた。
今回タイ政府が送還を強行した背景には対中関係強化の思惑がにじむ。タイは今年中国と国交正常化50年を迎え、タイのペートンタン首相は2月初旬に訪中し、中国人観光客の呼び込みなどを訴えている。
「恥ずべき行為」
ウイグル協会は声明で「過去にウイグル人難民の強制送還と引き換えに中国から巨額な経済支援を取り付けた事例がいくつもある」と指摘し、「タイは魂を売り、ウイグル人の命と引き換えに巨額な経済支援を取り付けただろう。恥ずべき行為だ」と問題視した。
日本を含む国際社会に対して「命がけで脱出したウイグル人難民を保護することぐらいは実現すべきだ」とした上で、バンコクの施設に拘束されたままとみられるウイグル人難民の解放のため、国際調査団の対応を求めた。(奥原慎平)
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https://www.sankei.com/article/20250228-35QE4IZWXBBEZHIOP323VXKWXY/