日本ウイグル協会は、タイと中国の共謀によるウイグル人難民の強制送還を強く非難する

タイ政府は27日、ウイグル人45人を中国に送還したと発表した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、保護を求める人を迫害の恐れのある国に送り返してはならないという国際法の原則に「明確に違反している」と批判した。

これらのウイグル人は、2014年に中国当局の迫害を逃れて脱出した、子供や女性を含む数百人のウイグル人難民の一員で、第3国への渡航を許可しないまま11年もの間バンコクの施設に収容してきた。収容施設での劣悪な環境、非道な扱いと不当な長期収容がウイグル人難民の命を奪い、これまでに幼い子供二人を含む5人の死亡が確認されている。タイ政府は2015年にも、命の危険に晒されることを知りながら国際法に違反し109人のウイグル人難民を中国へ強制送還したが、その後、彼らの一切の消息が不明となっている。

過去には、ウイグル人難民の強制送還と引き換えに中国から巨額な経済支援を取り付けた事例がいくつもあり、最も記憶に新しい事例では、2009年12月にカンボジアがウイグル人難民20人を中国に強制送還し、その2日後、中国は8億5000万ドルを超える14の貿易協定に署名していた。
今回の強制送還が、今月初めのタイ首相の訪中に合わせて行われるとの情報が出回り、国連、日米を含む多くの民主国家の国会議員や政府関係者、人権団体等が強制送還しないようタイ政府に求めていた。しかし、タイ政府は国際社会の声を全て無視し、タイ首相の訪中から3週間後に強制送還に踏み切った。タイは魂を売り、ウイグル人の命と引き換えに巨額な経済支援を取り付けただろう。恥ずべき行為であり、国際法や人権・人道への重大な挑戦であり、民主主義社会の価値観に対する侮辱でもある。

約1か月前、バンコクの収容施設にいる一人のウイグル人が外部にメッセージを送り、「私たちを中国に強制送還する代わりに、タイ政府は自由な世界で私たちを殺すべきだ」と訴えていた。

ウイグル人は長年中国当局から深刻な迫害を受けてきた。中国によるウイグル人らへの非人道的犯罪行為について、国際法上犯罪となるジェノサイド(特定のグループ全体、もしくはその一部を破壊する目的で行われる集団殺害、およびそれに準ずる行為)や人道に対する罪にあたるとの非難の声が国際社会から相次いでいる。これまでに、アメリカ政府、欧州議会、イギリス議会、フランス議会、カナダ議会等11の議会が、ウイグルジェノサイド(或いはその深刻なリスク)を認める決議を採択している。2022年8月、国連も「人道に対する罪を含む、国際犯罪の遂行」に当たる可能性があると公式に認めました。
このような状況の中、ウイグル人は安全な場所を求めて諸外国へ逃れているのだ。タイ政府の行為は、ウイグルジェノサイドへの加担であり、ウイグルジェノサイドの共犯者である。私たちは、タイ政府を強く非難すると同時に、機能しなかった国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も非難する。
国際法や人権問題の専門家、メデイア、シンクタンク等による数多くの調査報告、生還者の証言、流出した内部資料等ウイグルジェノサイドを裏付ける証拠が山ほど存在するのにもかかわらず、国連をはじめとする国際社会は、現在も進行中のウイグルジェノサイドを止めることも、調査することもできずにいるが、せめて、命がけで脱出したウイグル人難民を保護することぐらいは実現すべだ。

タイには、拘束中のウイグル人難民がまだ残っていると見られている。私たちは、日本政府を含む国際社会には、国際法を踏みにじるタイ政府と中国政府の共謀によるウイグル人の強制送還を明確に非難し、説明責任を追及し、同じような犯罪行為が二度と起こらないよう経済制裁等の措置を講じることを求める。また、2015年に強制送還された109人、今回強制送還された45人、そして今でもタイに残るとされるウイグル人難民の所在を明らかにし、独立した国際調査団との面会や調査を許可するようタイと中国の両方に圧力をかけることを求める。
日本留学中の2019年に、強制収容され行方不明になった親を探すために日本から一時帰国したら自身が収容され、1年後に収容所で死亡したウイグル人女性の事例を見れば、強制送還されたウイグル人を待ち受ける運命を想像できるだろう。送還者の人権を守るという中国のプロパガンダに騙されないよう強く呼びかける。

日本ウイグル協会
2025年2月28日

在日ウイグル人証言録

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