岩屋外相「タイ政府と随時意思疎通」、ウイグル人の中国送還検討 議連「非人道措置」懸念
- 2025/2/10
- ウイグル情勢

産経新聞 2025/1/31
岩屋毅外相は30日、タイ政府が中国・新疆ウイグル自治区出身の収容者に対し、中国への強制送還を検討している問題について「状況についてタイ政府と随時、意思疎通を行っている。適切に対応したい」と語った。送還阻止を求める超党派の国会議員でつくる日本ウイグル国会議員連盟の古屋圭司元国家公安委員長(自民党)らと外務省で面会して伝えた。
2月初旬の送還を危惧
タイの移民官は8日、ウイグル人らに対し中国への送還を希望する書類に署名を求めたなどと欧米メディアが報じている。
外務省幹部によると、タイのペートンタン首相が2月初旬に予定する訪中に合わせた送還の実施が危惧されているという。岩屋氏も在タイ日本大使館側に情報収集を指示している。
タイでは、2014年に中国から逃れた約200人のウイグル人が不法入国したとして拘束され、タイ政府は15年にテロリストとの関係を主張する中国政府の求めに応じ、そのうち109人を中国に強制送還した。
黒い頭巾姿で送還
当時は、航空機内で中国の当局者に挟まれ、黒い頭巾を被せられて送還される109人の姿が中国国営中央テレビで放送された。109人の消息は不明だという。
ウイグル議連は岩屋氏に対し、「送還された場合、中国当局が拘束、拷問、収容など非人道的な措置を講ずること、命を落とすであろうことが予想される」と懸念を伝え、タイ政府に送還を止めるよう強く働きかけるとともに、収容ウイグル人の第三国への出国の支援などを求めた。
議連はこの問題を巡って1月21日、視察先のタイから来日した亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)執行委員会のルシャン・アッバス委員長から聞き取りを行っていた。(奥原慎平)