タイ政府は、ウイグル人難民の強制送還と不当な長期拘留を停止せよ!
- 2025/1/15
- 声明

タイ政府が国際法を無視し10年以上も収監してきたウイグル人48人に、中国への強制送還の危機が迫っている。AP通信等複数の国際メデイアの報道によると、タイ政府は拘束されているウイグル人らに対し、中国に強制送還を希望する書類への署名を求めた。過去に送還されたウイグル人も同様の署名をしていた。
この48人は、2014年に中国当局の迫害を逃れて脱出した、子供や女性を含む数百人のウイグル人難民の一員で、10年以上もバンコクの施設に収容されている。タイ政府は2015年、命の危険に晒されることを知りながら国際法に違反し109人のウイグル人難民を中国へ強制送還したが、その後の彼らの一切の消息が不明となっている。当時、タイ政府は、迫害を受ける恐れのある国への送還を禁止したノン・ルフールマン原則に違反したとして国際的に批判を浴びた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も「国際法の明確な違反」と非難していた。
これを受けて、残りの53人について、中国への強制送還を停止したが、一方で、第3国への渡航も許可しないまま10年以上も収容してきた。収容施設での非道な扱いと不当な長期収容がウイグル人難民の命を奪い、53人のうち、これまでに幼い子供二人を含む5人の死亡が確認されている。昨年2月、国連の恣意的拘禁に関する作業部会はタイ政府あての書簡でウイグル人収容者への懸念を表明していた。
私たちはタイ政府へ強く抗議し、人道的観点や国際法の観点からウイグル人難民の強制送還を回避し、非道な扱いと不当な長期収容を止めるよう求める。
ウイグル人は長年中国当局から深刻な迫害を受けてきた。中国によるウイグル人らへの非人道的犯罪行為について、国際法上犯罪となるジェノサイド(特定のグループ全体、もしくはその一部を破壊する目的で行われる集団殺害、およびそれに準ずる行為)や人道に対する罪にあたるとの非難の声が国際社会から相次いでいる。これまでに、アメリカ政府、欧州議会、イギリス議会、フランス議会、カナダ議会等11の議会が、ウイグルジェノサイド(或いはその深刻なリスク)を認める決議を採択している。2022年8月、OHCHRも「人道に対する罪を含む、国際犯罪の遂行」に当たる可能性があると公式に認めました。
このような状況の中、ウイグル人は安全な場所を求めて諸外国へ逃れているのだ。タイ政府は、2015年に犯した過ちを繰り返すのではなく、無期限かつ恣意的な拘留を続けている48人のウイグル人を即時釈放し、家族との再会を許可し、国際調査団の面会と調査を許可し、国際社会と協力し第3国への渡航を許可すべきである。
日本ウイグル協会
2025年1月15日