政府、強制労働企業を公共事業などから排除 ウイグルで批判高まる
- 2023/4/4
- ウイグル情勢

産経新聞 2023/4/3
政府は3日、企業のサプライチェーン(供給網)における人権問題対応に関する関係府省庁会議で、公共事業の受注企業や物品の納入企業などに対し、サプライチェーン上で強制労働などの人権侵害に加担しないよう求める方針を決めた。入札説明書や契約書に「(企業が)人権尊重に取り組むよう努める」と明記する。
中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区での強制労働問題に国際的な批判が高まり、強制労働に関与する企業をサプライチェーンから排除する動きが広がる中、日本も対応を強化する。
今後は、企業が取引先における強制労働などの人権侵害の有無を把握し改善する「人権デューデリジェンス(DD)」のガイドラインを順守することを入札参加の事実上の条件とする。政府は昨年9月にDDのガイドラインを策定したが、実効性に欠けていた。欧米ではすでにDDの法整備が進んでおり、米国は昨年6月、新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する法律を施行した。
今回の日本政府の決定内容は、6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも盛り込む見通し。対応強化は、5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、議長国として人権問題を重視する姿勢を示す狙いもある。
人権問題を担当する中谷元(げん)首相補佐官は会議後、記者団に「G7でルールがなかったのは日本だけだったので、しっかりしたルールができたと世界に発表し、国際的な人権擁護の推進を促す」と強調した。また、企業がガイドラインを自主的に順守することが重要だとの認識を示し、法整備に関しては「世界各国の情勢を注視しつつ、今後どうするか検討を進めていきたい」と述べるにとどめた。