<特報>中国の人権侵害究明 4議連が超党派議連設立へ
- 2022/11/8
- ウイグル情勢
産経新聞 2022/11/7
中国政府による少数民族迫害の実態を内外に発信するため、4つの国会議員連盟が12月初旬に新たな超党派議連を立ち上げることになった。海外の人権に関する非政府組織(NGO)と連携し、中国政府に人権侵害状況の改善を促す狙いがあるが、単なる世論喚起以上の成果も問われそうだ。
新たな議連の母体となるのは、超党派の日本ウイグル国会議員連盟▽日本チベット国会議員連盟▽人権外交を超党派で考える議員連盟▽自民党の南モンゴルを支援する議員連盟。4議連の幹部が7日に開いた準備会合で、名称を「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」と内定した。
新議連は、新疆(しんきょう)ウイグル、内モンゴル、チベットの3自治区の人権状況の改善に向け、米国や欧州を拠点に活動する人権団体などと連携し、弾圧の実態を告発する。日本でシンポジウムも開く予定だ。4議連はそれぞれ活動を続ける。
新議連を発足させる背景には、ロシアのウクライナ侵攻後、中国当局による人権侵害に対し、内外の関心が薄れつつあるとの危機感がある。さらに日中首脳会談などで人権状況の改善を提起し、ウイグル議連などの後ろ盾ともなっていた安倍晋三元首相の死去を受け、複数の議連が結束し、影響力を保持する狙いもある。
自民党の古屋圭司ウイグル議連会長は7日の会合で「深刻な人権侵害にあっている人々を助ける精神が必要だ。議連を合体させ、中国の人権侵害を内外に発信することで、世界ともっと濃密に連携できるだろう」と語った。
各議連はこれまで中国当局の人権侵害を批判し、活動を続けてきたが、日本の対中人権政策は欧米諸国に比べて遅れている。
人権外交議連やウイグル議連は、先進7カ国(G7)のうち、日本だけが有していない人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)の整備を訴えてきたが、政府内に制定に向けた具体的な動きはない。
ウイグル人の強制労働に関連し、政府は9月に企業にサプライチェーン(供給網)で強制労働などの人権侵害を把握し改善する「人権デューデリジェンス(DD)」の指針を策定した。人権外交議連は、欧州各国のように人権DDを企業に義務付ける法制化を訴えているが、そこまでには至っていない。
新議連にはこうした課題に対する「行動」も求められる。(原川貴郎)
https://www.sankei.com/article/20221107-TELJCT7RPNMDVGSG5QB3AFZGPQ/