ウイグル人に対する強制労働と人道に対する罪を指摘した国連特別報告者の報告書を歓迎する
- 2022/8/18
- 声明
8月16日、「ウイグル人に対する強制労働があったと結論付けるのは合理的だ」とする国連特別報告者の報告書が公表された。報告書は、国の命令に基づきウイグル人らを収容し強制労働させる施設の存在を指摘し、「過剰な監視や拘束による移動の制限、劣悪な生活・労働環境、脅迫や身体的・性的暴力など非人道的で屈辱的な扱いが見られ、人道に対する罪である奴隷化に相当する可能性がある」と警告した。報告内容は、9~10月に行われる国連人権理事会で議論される。
日本ウイグル協会は、国連人権高等弁務官による報告書の公表が中国の妨害で遅れている中で公表された国連特別報告者の報告書を歓迎する。
ここ数年間、多くの専門家や人権団体等が、ウイグル人に対する大規模強制収容の一環として世界中の企業を巻き込んだ強制労働が行われていることを報告してきた。これを受け、企業や各国政府の間で対策が広がりつつある。特に、アメリカでは「ウイグル強制労働防止法」が今年6月に施行されたほか、今月、「奴隷労働支援者制裁法案」(ウイグル人らへの人権侵害を理由に制裁対象となっている外国の事業体とビジネスを行う、またはそれら事業体に支援を提供する者に二次制裁を科す内容の法案)が米議会に提出された。
残念ながら、企業や各国政府が対策を進める中、国連が対策を放置してきた。そんな中、国連特別報告者がこのような報告書を公表し警告を鳴らしたたことは、大変重要な一歩である。
東トルキスタンで起こっていることについて、アメリカ政府、欧州議会、イギリス議会、フランス議会、カナダ議会、オランダ議会、ベルギー議会、リトアニア議会、チェコ議会、アイルランド議会等がジェノサイドや人道に対する罪に認定している。国際労働機関(ILO)が今年2月公表した報告書で、ウイグル人らが「再教育」の名の下で強制労働を強いられていると深い懸念を表明している。国連総会や人権理事会で、ウイグル問題で中国を非難し調査を求める共同声明に署名する国が年々増加しており、2019年の22カ国から2022年には47カ国に倍増している。
日本においては、私たちが把握しているだけで102の地方議会がウイグル問題で意見書採択し国に対応を求めているが、政府、企業、専門家の反応が消極的である中で、今回の重要な報告書が英国キール大学教授の日本人学者小保方智也国連特別報告者(現代的形態の奴隷制担当)によってまとめられたことは大変心強いことであり、深く感謝する。
私たちは、国連ジェノサイド防止担当事務所、各国政府、企業、専門家や政治家が、制裁や徹底した調査等人道的責任を果たすよう求める。
2022年8月18日
日本ウイグル協会