バチェレ国連人権高等弁務官のウイグル訪問に関する声明
- 2022/6/2
- 声明

5月、バチェレ国連人権高等弁務官によるウイグル訪問が実現しました。ウイグルにおいて中国政府の人道犯罪やジェノサイド政策が実行されている中、国連人権部門の責任者の現地訪問が実現したことは重要な意味を持つはずでした。しかし、報道及び本人の発言によれば、バチェレ氏が今回の訪問で果たすべき責務を一切果たせず、調査も、実態把握も、事態改善への圧力も無いまま訪問を終えています。
バチェレ氏は、国連主導でウイグルジェノサイドの実態を解明し、それを止めるべく行動に繋げるための歴史的な機会を無駄にしてきました。これは、国連人権高等弁務官事務所の信頼を地に落とす責任放置であると言わざるを得ません。人権侵害を否定する中国の宣伝工作に利用された格好となったバチェレ氏の現地訪問は、世界中のウイグル人を絶望させ、何百万人ものウイグル人を苦しめている「地獄の門」を開けるためのチャンスを中途半端な形での妥協によって閉じてしまいました。
そして、バチェレ氏の訪問期間中に、中国当局が「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ強制収容所に関する大量の内部資料「新疆公安ファイル」が流出し、恐ろしい非人道的犯罪の決定的証拠が明らかになったことを、世界の主要メデイアが一斉に報じました。
公安当局のシステムに対するハッキングによって流出した資料は、機密文書、官僚のスピーチ原稿のほか、2800以上の収容者の写真、2万3000人以上の収容者名簿、30万人以上の個人データ、収容施設における警察の活動や武器などの膨大な写真等数万件の内部資料で、特に収容施設内部の写真がこれほど多く流出したのは初めてです。誰が見ても隠し通せないほどの証拠を白日の下に晒した格好です。
非人道的で、大規模で、深刻な人権侵害の証拠が明らかになった以上、国際社会は制裁を強化し、徹底した調査に乗り出すべきです。直ちに実行されるべきは、独立した透明性のある徹底した調査であり、私たち海外に住むウイグル人はそれに協力する意思があります。中国が深刻な人権侵害や人道犯罪を否定するならば、私たちの家族の安否調査と、収容所内部の完全な査察を直ちに認めるべきでしょう。
現在世界は、ロシアのウクライナ侵略に対し、経済制裁そのほかの手段で抗議しています。わが祖国東トルキスタンも、中国政府の侵略によって占拠、植民地化され、そして今は全土が収容所化し、ジェノサイド政策が続行されています。私たちは、中国が自由な査察を許さないのならば、同様の制裁を科すことを、国際社会並びに日本政府に求めます。
1、中国政府は収容所他ウイグルのあらゆる地域の自由な査察を直ちに認め、国際的な査察団を何らの制限も課すことなく受け入れよ。
1、国連は今回の査察・調査の不十分さを認め、再度、明確に調査・査察を目的とした国際人権調査団の派遣を要請してください。そして、その査察団には、私たち海外に住むウイグル人有志の参加を認めてください。
1、日本政府は、参議院にて、衆議院では成立済みのウイグル関連の非難決議を、最新の情報に基づいてさらに強固な文章として成立させ、かつ、人権改善なきの場合は、中国に対する経済制裁を国際的に呼びかける人権外交を展開してください。
2022年6月2日
日本ウイグル協会