ウイグル等における人権侵害を念頭にした非難決議の採択に関する声明
- 2022/2/1
- 声明
本日、衆議院本会議において、ウイグル等における人権侵害を念頭にした非難決議が、賛成多数で採択されました。
私たち日本ウイグル協会は、中国によるジェノサイドの犠牲に遭っている当事者として、今世紀最大の人類の汚点と非難されているウイグル人らに対する人道犯罪等に対して、日本国国会が一定の国家意志を示したことを歓迎し、国会決議の実現にご尽力くださった「日本ウイグル国会議員連盟」をはじめとする関係議連や議員の方々に深く感謝します。
この国会決議は、昨年2回も見送りとなり、当初の文案よりも文言の表現が大きく後退した形での採択にはなりましたが、それでも「ウイグル」を明記した決議案が衆議院本会議で採択されたことは前進であり、過去になかった重要な一歩だと考えます。
世界を見ると、ウイグル(中国の植民地支配下にある東トルキスタン)で起こっている悪夢を終わらせるために、世界各国の政府・議会が相次いでこれを国際法上犯罪となるジェノサイドと認定し、中国に責任を負わせる取り組みを進めています。
・国連常任理事国の中で、中国とロシアを除くすべての国がジェノサイド認定しています。(アメリカ政府、イギリス議会、フランス議会がジェノサイド認定。)
・G7の中で、日本を除くすべての国が厳しく糾弾しています。(アメリカ政府、カナダ議会、イギリス議会、フランス議会がジェノサイド認定。ドイツ議会人権委員会が「人道に対する罪」と非難する決議を採択。イタリア議会が「深刻な人権侵害」と非難する決議を採択。)
・アメリカ、カナダ、イギリス、EUが一斉に制裁を発表しています。(G7の中で、日本を除くすべての国が制裁を発表。)
・このほかにも、オランダ議会、リトアニア議会、チェコ議会がジェノサイド認定し、ベルギー議会が「ジェノサイドの深刻な危機及び人道に対する罪」と非難する決議を採択し、ニュージーランド議会が「深刻な人権侵害」と非難する決議を採択しています。
このように、日本と共通の価値観を持つ世界の主要な国々は、経済的・政治的利害関係を乗り越えて、人道的観点に立って、習近平政権が東トルキスタンで行なっている人道犯罪を黙認せず厳しい姿勢で向き合う意思を示しています。
そして、日本国民の間でも、日本政府の対応に批判の声が高まっており、2021年3月以降、私たちが把握しているだけで、日本全国30の都道府県から、大阪府議会を含む84の地方議会がウイグル問題で意見書採択し、国に対応を求めてきました。それにもかかわらず、採択の時期を何か月も遅らせ、文言の表現も大きく後退させた一部の政党や議員の人権・人道に対する意識に大いに疑問を感じますし、残念に思います。
今回の決議は、日本政府に対して、深刻な人権状況の全容を把握するための情報収集を求めると同時に、国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施することも求めています。
私たちは、在日ウイグル人の被害状況等具体的な事例や情報提供にいつでも協力しますので、国際人権問題担当内閣総理大臣補佐官の中谷元先生をはじめとする関係者がヒアリングや公聴会等を定期的に開催し、この問題に積極的に関与していくことを望みます。また、国会が今後も継続的にこの問題に関与し、参議院において、ほかの先進国並みの踏み込んだ厳しい国会決議が採択されることをお願い申し上げます。
2022年2月1日
日本ウイグル協会