「ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議」の見送りに関する声明
- 2021/6/17
- 声明

今国会での成立を目指してきた「ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議」が、上程されないまま国会が閉会しました。相次いでジェノサイド認定され、世界中から激しい非難を受けているウイグル人の人道危機に対し、日本が国家としての意思表示をする機会をまた逃してしまいました。多くの日本国民の道徳観や価値観に反する形で、この歴史的非難決議を事実上阻止した公明党の対応は絶望的なもであり、強く抗議します。
この非難決議は、「日本ウイグル国会議員連盟」(会長:古屋圭司先生、事務局長:長尾敬先生)の先生方を中心に2020年11月以来目指してきたもので、この半年間の間、非難決議の成立を実現するために大変なご尽力をしてくださったウイグル議連の先生方、関係者の皆様、応援してくださった国民の皆様に心より感謝申し上げます。そして、正式な党内手続きを通す等、非難決議に賛成の意思を示してくださった、公明党を除く与野党の皆様に心より感謝申し上げます。
当初は、菅総理の訪米前の決議を目指していましたが、3月末に公明党の要請により、総理訪米前の決議は延期することになったと報道されています。そこから2か月以上経っても、公明党の議論は全く進まず(そもそも議論するつもりがなかったのかもしれません)、ウイグル人に対するジェノサイドや人道犯罪を日本が黙認し続けると宣言したのと同じくらいの残念な結果に終わってしまいました。ジェノサイドの犠牲に遭っている私たちウイグル人の歴史だけではなく、日本の国会の歴史にも新たな1ページを作ると期待していたこの歴史的非難決議の採択が阻止されたことは、私たちウイグル人や多くの日本国民の有権者を落胆させ、中国共産党を喜ばせたのは間違いないでしょう。「知らなかった」「証拠がない」「事実認定うんうん」・・・等は、やる気のない政治家の言い訳であり、少し勉強し調べれば非難決議の必要性に値する事実がいくらでも存在することに気づくはずです。
国際社会は、「ウイグルで何が起こっているのか」を議論する段階から既に「ウイグルで起こっている悪夢を終わらせるための具体策は何か」という段階に移っています。日本の政治家が無駄にしたここ半年間では、ウイグルで起こっている悪夢を終わらせるために、世界各国の政府・議会が相次いでこれを国際法上犯罪となるジェノサイドと認定し、責任を負わせる取り組みを進めてきました。今年に入ってから、アメリカ政府、カナダ議会、オランダ議会、イギリス議会、リトアニア議会、チェコ議会、ベルギー議会(外交委員会で可決済み、7月1日の本会議で可決予定)等が相次いでジェノサイド認定をしました。ニュージーランド議会やイタリア議会も非難決議を採択しています。欧州ではまだいくつもの議会で同様の動きがあると報道されています。また、先進7カ国(G7)の中では、日本を除く各国が、限定的ではありますがウイグル問題で制裁に踏み切りました。特に、ウイグル問題で制裁に踏み切ったEUですが、対中制裁を発動するのは天安門事件以来の出来事です。政界だけではなく、国際法や人権問題の専門家たちも相次いで独自の調査報告書を発表し、ウイグルで起こっていることをジェノサイドや人道に対する罪に当たると結論付け、国際社会に行動を求めています。
日本が黙認を続けている間にも、ウイグルの人々の命が奪われ、民族を力で滅ぼす人道危機が進行しています。ナチスやスターリンの悲劇を体験した国際社会の一員として、目の前で起こっている人道犯罪に毅然と抗議し、それを阻止すべく世界の模範となる行動をとる日本国になって欲しいと切に願います。
私たちの訴えはこれからも続きます。どうか公明党の皆様も、利害関係や政治的思惑以前に、人間として許してはいけない問題だと認識を改めて頂けますようお願い申し上げます。
2021年6月17日
日本ウイグル協会