著名な学者エイドリアン　ゼンツ氏が出した最新の研究調査報告書では、中国が大量の不妊手術と人口管理の政策を通じてウイグル人から未来を奪おうという恐ろし工作の、具体的な証拠が出されています。これは強制収容所生存者からの証言と、今までは確証が得られなかった東トルキスタン出身のウイグル人達の「噂」を裏付けるものでした。

この調査報告書は中国政府の公式文書から引用されており、中国政府がウイグル人の出生率を抑制するために不妊手術を行い、東トルキスタンの人口比率を調整し、これによってウイグル人を同化し、ウイグル民族を完全に消滅させようとしていることを表しています。産児制限違反経歴の有る者は、処罰として強制収容所に長期監禁すると、流出された内部文書である通称「Karakaxリスト」に明記されています。さらに2019年、農村部の大量のウイグル人女性を対象にした不妊手術のキャンペーンの計画が明記されており、これは出産可能な年齢のすべての女性のうち、グマ県では14％、ホータン市では34％を対象としており、2年間で数十万人に「卵管結紮不妊処置」を実行するのに十分な予算を中国政府が確保していることが明らかにされました。

さらに中国当局は、2019年までに東トルキスタン南部の出産適齢期の女性の少なくとも80％を不妊手術の対象にしたと述べています。2018年中国は、新しいIUD（避妊具）の80％を、中国の人口の1.8％しか占めていない、東トルキスタンに配布していました。報告書では、このプロジェクトはウイグル人が数多く居住する新疆南部のすべての市町村で実施され、2020年も予算を増額して継続していることが明らかにされています。

中国のこの非人道的な政策は、ウイグル人地区のウイグル人の出生率に大きな影響を与えています。レポートでは、東トルキスタンのウイグル人口が最も多い2つの県で、人口増加率が2015年から2018年にかけて84％減少したとされます。さらに2020年には、これまで前例のないゼロに近い出生率を目標にしたウイグル人居住地域も現れました。

レポートの調査結果は、強制収容所の生還者と東トルキスタンで中国の残虐行為の目撃者が言っていることを裏付けています。ほとんどの女性の強制収容所生還者は、拘留中に錠剤と白い液体を摂取することを余儀なくされたことと、摂取後には女性達は精神状態に混乱をきたし、生理も止まってしまったと証言しています。さらに強制的に医療処置が行われ、その際に避妊器具を体内に装着されていた生還者もいます。

これらの政策は、ウイグル人の人口増加を食い止め、現地の人口比率を人為的に変えるものであり、中国政府は計画的に大量の漢人を東トルキスタンに移住させることで、更に効率を高めています。中国政府は数百万の漢人の開拓者を東トルキスタンに移住させましたが、近年になってからも更に200万人の移住者を送り込んできたとされ、ますます加速してきているといえます。

中国政府がウイグル人女性に対して大量の不妊手術を行った行為と、ウイグル人人口を抑制し人口比率を減少させようとする試みは、他のウイグル人への人権侵害と合わせ、国連条約で定義されているジェノサイドの基準を満たしています（ジェノサイド犯罪の防止と処罰、およびローマ定款の第6条）。また、子どもの権利に関する条約（CRC）や女性に対する差別の撤廃に関する条約など、中国が署名している他の多くの国連条約に明らかに違反しています。約50人の国連専門家が国連と国際社会に、特に東トルキスタン、チベット、香港での人権状況改善のために緊急かつ具体的な行動を取るように求めています。

「このレポートの調査結果は、ウイグル人が恐れてきたことを裏付けています。中国政府は私たちウイグル人を消滅させようとしています。」と世界ウイグル会議のドルクン エイサ総裁は語りました。「私たちの言語、歴史、文化、宗教、民族的アイデンティティだけでなく、人間としての権利が踏みにじられています。私たちが経験しているのは大量虐殺です。」

中国政府はウイグル人への迫害について世界に嘘をついており、次世代のウイグル人を根絶するためにウイグル人女性に不妊手術を行っているだけではなく、すでに、生まれているウイグル人の子供たちを両親から引き離し、「孤児院」に収容しています。子どもたちはウイグル語を禁止され、宗教を学ぶこともできません。中国政府はウイグル人の未来を破壊するために、ウイグル人の女性と子供をターゲットにしているのです。

何百万もの無実のウイグル人が強制収容所に拘留され、苦しんでいる中、日本ウイグル協会一同、世界ウイグル会議と共、国際社会が中国のジエネサイドを止めるよう、実効的措置をとるように強く求めます。

2020年7月6日
日本ウイグル協会
会長　于田　ケリム