ISISによる日本人殺害に抗議する緊急声明
1月31日未明、ISISのテロリストたちは湯川氏に引き続き、ジャーナリストの後藤健二氏を殺害しました。私たち日本ウイグル協会は、この残酷な殺人に対し、怒りと哀しみを込めてISISに抗議いたします。このような行為は,本来平和と寛容を重んじ、信仰の異なる人々とも平和な関係を目指してきたイスラム教の精神とは全く相容れないものであり、同時に私たちが批判してきた、中国共産党の、自由な言論を封じ、意見や価値観の異なるものを抹殺し殺害をもいとわない姿勢そのものであります。
後藤健二氏は、その著作を通じて、アフガン女性の人権問題や、シリア難民の苦境を訴える人道的な言論活動を行ってきました。湯川遥菜氏がシリアに赴いた動機が何であったにせよ、彼は何ら罪を犯したわけでもなく、テロリストに湯川氏を殺害する正当性など皆無です。そして、ISISは安倍首相の中東歴訪や経済援助を批判しておりますが、現実の中東諸国は、パレスチナを含めて今回の日本外交について、危険な原理主義ではなく「中庸の精神」の必要性を解き、難民支援のための平和的な経済援助を行った点を高く評価していることは、各国の声明を読めば明らかです。
同時に、ISISの行為を最も政治的に悪用しているのは中国政府です。「テロとの戦い」を宣する資格がある国家とは、自国内で言論、信仰、表現の自由を法的に保障し、かつ、国内各諸民族の民族自決権を認め、民主的な選挙で政府を国民が選択しうる権利を持つことが絶対条件です。このすべてに反した中国共産党独裁政権が現在ウイグルで行っているのは、罪のない若者の拉致、言語をはじめとするウイグル伝統文化の破壊、さらに昨年のヤルカンドで行われた虐殺など、政権によるウイグル人全体へのテロ行為そのものです。
私たちは後藤健二さん、湯川遥菜さんの死を深く哀悼するとともにISISの非道なテロに対して、そして、中国共産党がこのテロを利用しウイグル人やイスラムへの偏見を広め、さらなる弾圧を行っていることに強く抗議します。
テロをなくすために絶対必要なのは世界の民主化と民族自決権の確立であり、日本ウイグル協会は、国際社会がISISのみならず、中国をはじめとするすべての独裁体制の人権抑圧に連帯して抗議することを呼びかけます。
2015年2月2日
日本ウイグル協会
※PDFファイル
ISISによる日本人殺害に抗議する緊急声明
https://uyghur-j.org/statement/20150202_isis.pdf