2009年2月7日 グルジャ事件追悼デモ 報告
- 2013/5/13
- 活動報告
2009年2月7日 グルジャ事件追悼デモ 報告
2月にしては穏やかな気候の中、グルジャ事件追悼・東トルキスタン支援デモが行われました。
1997年2月5日、平和裏に行われたはずのデモが公安警察により武力弾圧を受けたというグルジャ事件。多くの人々が零下20度の寒空の下、服を脱がされ冷水を浴びせられ凍死に至ったといいます。東トルキスタンの人々にとって2月5日は、チベットの人々にとっての3月10日と同じく、忘れられない日なのだそうです。
集合場所は渋谷・宮下公園。
鮮やかな水色の国旗と風船を目印に、11時頃からちらほらと参加者が集まりだしました。アクセサリーや干し葡萄、岩塩などの物販は、回を追うごとに充実していきます。受付横の募金箱に「葬式だってこれくらいだから」と言って入れてくださった方もいらっしゃいました。
集会は11時半からの予定の所を、45分に繰り下げての開始。司会による挨拶の後、グルジャ事件の犠牲者を追悼して一分間の黙祷を行いました。小さく響く、フットサルの練習をする声、山手線の走る音。平和な日本の暖かな日差しの下で、砂漠の夜に凍えた人たちのことを考えるのは、少し難しい。
黙祷の後、世界ウイグル会議日本代表、日本ウイグル協会会長のイリハム氏は、まず活動支援への礼を述べ、グルジャ事件について説明。この事件は、数多くの虐殺事件の中で唯一証拠を持てる事件だといいます。また、ウイグル人たちが中国共産党から動物のように扱われている、とも。「私は世界の人々の正義感を信じている」「私たちウイグル人は、皆さんの応援があれば最後の一人になるまで主張を続けます」と、今後の支援を願う形で締めました。引き継き、〇八憲章や法輪功の活動を例にあげ、世界で声を上げている中国の民主活動家の一人である王進忠氏に繋ぎました。
王氏は昨年、中国への抗議事件が20万件あったこと、グルジャ事件12周年、ダライラマ法王のインド亡命50周年、チベット3.14事件1周年、法輪功への弾圧開始10周年、天安門事件20周年を次々とあげ、中国の抱える問題が今年転機を迎えるだろうとしました。また〇八憲章や、ラビア・トフティさんが日本へ帰化したこと、安倍元総理がウイグル問題について声明をだしたことについても触れ、アジアの中で日本が諸問題について努力するべきだと話しました。そして、中国共産党を倒し、中国の民主化を進めることについての理解と協力を求めました。
続く台湾研究フォーラム会長の永山氏は、ウイグル人のテロはレジスタンスであり、断固支持していくと訴えました。チベットが国際世論に支持され、中国政府のアキレス腱になっていることから、ウイグルもまたそうなることを中国が恐れている。そうならばもっと世論を盛り上げ、チベット・ウイグルの先にある台湾、さらには東アジア全体に対する中国の軍備増強にも反対し、この問題をさらに大きくしていかなければならないとしました。日本政府や国民は中国の膨張主義に無頓着すぎるけれども、グルジャ事件が鳴らす警鐘に耳を傾け、犠牲者の死を無駄にしないために活動していきたいと、平和・人権を守る世論戦の大切さを訴え、共に声を上げていきましょうと呼びかけました。
次に、活動当初から支援されている荒川区議の小坂英二先生より挨拶。胸につけて下さっている東トルキスタン国旗のバッチが、前回よりも大きくなっていました。自身が昭和47年の生まれであることから、同年行われた日中国交正常化に触れ、それにより日本が共産党政権の延命に加担し、虐殺の片棒を担いできたことに対する忸怩たる思いを示しました。日本人としてこの問題に向き合い、行動していくべきであり、一般の関心が下がっている今だからこそ声を上げたいと話しました。今後の抱負として、来年に控える上海万博を開催する資格はないとするHPを有志で立ち上げたいとしました。さらに、中国国内の環境破壊の進行、それを無視してまでも経済成長しなければ不満を抑えられない状況に対し、日本は資金援助ではなく、共産党の支配体制を終わらせるための枠組み作りをしていくべきだと話しました。また、「中国の狙いは民族絶滅」という、イリハムさん、テンジンさん、ダシさん、林建良さんの共著を紹介し、購入して読むだけでなく、図書館などにリクエストしてほしいと訴えました。最後に、2月12・13日19時半よりチャンネル桜放送の地方議員8人による討論番組に出演することを話し、番組の中で中国の民族問題について触れ、地方議員の中でも運動を広げていきたいとしました。
小坂先生からの激励の後、札幌医科大学医学部教授の高田純先生よりのメッセージの紹介がありました。
以下、高田純先生よりのメッセージの転載です。
みなさんご苦労さまです。小生・高田純は、札幌から声だけの参加で申しわけありません。
中国共産党政府によるシルクロードでの核実験強行の背景となっている東トルキスタンでの圧制・恐怖政治は見過ごせません。 マイナス20度厳寒の2月、逮捕されたデモ参加者は、放水され多数が凍死させられたという。とても人間として許せることではありません。毛沢東時代も現在も、人命を無視した政権とは空恐ろしい。
今、札幌では雪祭りが開催されるほどの寒い2月です。その中で放水されたらと思うと、怒りがこみ上げてきます。
人権・人道に国境なしです。本日東京で、このデモに参加されたみなさんは、尊敬される人たちです。3月18日のシンポジウムへの参加、お願いします。ありがとうございます。
札幌医科大学教授 高田純
グルジャ事件追悼 東トルキスタン支援デモの開催を心よりお祝い申し上げます。
グルジャ(イリ)事件から12年を迎え、改めて中共政府の残虐な弾圧の犠牲となられた東トルキスタンの方々に対し、謹んで追悼の意を表します。
中共政府による東トルキスタンのウイグル人など少数民族に対する残忍な圧政と人権蹂躙、同化絶滅政策は、チベット、南モンゴルに対するそれと同様、正義と人道の立場から決して看過してはならないのみならず、我々日本人にとっても決して他人事ではなく、同じ脅威に脅かされているアジアの同胞として、手を携えて自由と人権のために戦っていかねばなりません。
私も、本年7月の都議会議員選挙を何としても勝ち抜き、引き続き都議会議員として、東トルキスタン支援の一助となるよう取り組んで参りたいと思います。
東トルキスタンをはじめ、中共政府の圧政に苦しむ少数民族の自決権と人権が当たり前に守られるその日まで、共に戦って参りましょう。
本日のデモが実り多きことを祈念し、ご参集の皆様のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
3月18日のシンポジウムについての軽い告知の後、デモ行進が行われました。
コースは全長3.3km。宮下公園を出て右、青山通りを行き、表参道交差点を左折し表参道を歩き、神宮前交差点を左折し明治通りを通り、神宮前6丁目を右折、線路沿いをハチ公前まで出た後、宮益坂下を曲がって再び宮下公園まで。
イリハムさんの持つ東トルキスタン旗を先頭に、旗や風船やプラカードで真っ青に染まった隊列。その中に紅白の日の丸が少なくとも三本、鮮やかなチベット旗が大きく一本、民族衣装を身につけた男性が高く掲げた内モンゴル人民党旗。横断幕を支えているのは新撰組、最初のコーラーは忍者、沿道ではガスマスクを被った迷彩服がビラを配り、その近くには鎧武者。手製のプラカードを掲げ、持参の旗を身に着け、真剣な顔でコールする参加者たち。その多くが頭上に浮かべ、さらには沿道でスタッフが配っていく水色と白の風船が、緊張感をやわらげ隊列をまるく包むよう。
コーラーが「御通行中の皆様、お騒がせしています」と沿道の人々に語りかけた後、「フリーウイグル」「ウイグルに自由を」などのコールを繰り返します。今回はそれが三種類用意され、慣れるのに苦労しましたが、内容はよく考えられ充実していました。
参加者は100人ほどでしたが意識が高く、一人ひとりが声を張り上げ、かなり迫力のあるコールだったように思います。また、コーラーが「中国はこの悲劇に対して反省し、速やかに弾圧と虐殺をやめて、ウイグルから出て行くべきではないでしょうか」と呼びかけるたび、「そうだ」「そうだ」と多くの声があがっていました。
沿道の人たちは、やはり基本無関心ではあるのですが、時折拍手をくれる方や「がんばれ」と声をかけてくれる方などもいて、随分と励まされました。表参道付近では外国の方も多く、日本人よりも関心が高いようでした。また、国籍を問わず、携帯のカメラやデジカメを向けてくる方もかなりいました。
ハチ公前のスクランブル交差点は一番の見せ場でもあり、呼びかけを飛ばしてコール部分を2回繰り返すなどの工夫が見られました。
宮下公園にたどりついた直後には「オイガン ウイグル(目覚めよウイグル)」「オイガン ヤポニヤ(目覚めよ日本)」を2回ずつ繰り返して締めました。
デモ終了後、司会より警察、警備の方へ感謝の表明がありました。次に白石先生より、5月11日にワシントンで行われる世界ウイグル会議に日本ウイグル協会として参加すること、8月に広島長崎で中国の核実験を訴えることの告知と、デモ参加者への感謝。続いて、イリハムさんが中国大使館へ提出する「グルジャ事件に関する抗議文」を読み上げました。
台湾研究フォーラムより、2月14日の講演会、2月28日のデモの告知。名もなき市民の会より署名のお願い。南モンゴル応援クリルタイより、大相撲千秋楽時のモンゴル自由連盟党ダイチンさんからのメッセージの読み上げと、関連ビラの紹介、良心犯ハダ氏釈放のためのオンライン署名の協力願い。台湾における野苺運動の支援署名のお願い。などの各団体からのイベントの告知などが行われました。この間、日本ウイグル協会の募金箱が回され、多くのご寄付をいただきました。
その後、イリハムさん他4名が中国大使館に赴き、抗議文を読み上げ、投函しました。拡声器を使っていないにも関わらず、あたりに響き渡るような堂々とした声でした。東トルキスタン旗を掲げてイリハムさんに立ち会った人も、真剣な面持ちで大使館を見ていました。
午後の日差しは穏やかで、旗をなびかせる風もどこかやさしく。そんな天気のせいなのか、追悼という響きのせいか、終始穏やかなデモでした。「良いデモだった」と、あとから参加者の方に言っていただけたこと、スタッフの一人として本当に嬉しく思います。
グルジャ事件に関する抗議文
1997年2月5日、東トルキスタンのグルジャ市において、ウイグル人が不当逮捕されたことに対する抗議のデモが行われた。逮捕されたのは単にサッカーチームを結成したというだけの者であり、その解放を求めるのは真っ当な要求である。しかし、この平和的なデモに対して中国政府は武装警察を投入し、参加者の多くを射殺した。それに留まらず、その場でデモを見ていただけの者までもを多数逮捕した。そして特に、零下20度の酷寒の中、服を剥ぎ取り冷水を浴びせかけ、多数を凍死に至らしめたことは人道にもとる所業であると言わざるを得ない。この虐殺事件から12年を経た今でも、監獄で不当に拘留されている者がいる。
そもそも、中国共産党が東トルキスタンを侵略して以来、ウイグル人は過酷な弾圧に苦しみ続けてきた。中国が諸民族の平等を掲げた自国の憲法を守っていないのは明らかである。民族の尊厳を奪うような支配を続けたことで、ウイグル人の不満が高まり、抗議の声があがったのは当然であろう。しかし中国政府は、このような平和的なデモですらテロリストによる暴動と喧伝し、武力行使を正当化してきた。このグルジャ事件に象徴されるように、中国政府は殺戮と弾圧の度合いを増しつつ今に至っている。 私達は、ただ民族の尊厳を求め、平穏な暮らしを願っただけで数多くの同胞が殺された、このグルジャでの事件に対し、筆舌に尽くせない悲哀の念を抱いている。
この事件だけに限らず、中国政府はさまざまな手段をもって、半世紀以上に渡り私達ウイグル人を苦しめてきた。東トルキスタンを核実験場に使い多数の犠牲者を出し、不当な逮捕と拷問によって多数の者を殺し、強制中絶を伴った産児制限を行ってきた。また、教育の場からウイグル語を追放し、宗教活動を禁止し、歳若い女性を中国のよその土地へと強制的に連行している。これ以外にも様々な手段を使い、中国政府は私達ウイグル人を抹殺しようとしている。
私達は中国政府によって行われたグルジャでの虐殺行為と、人権を省みることのない強権的な支配に対し、厳重に抗議するものである。
2009年2月7日
世界ウイグル会議 日本代表 イリハム・マハムティ