言語政策
- 2012/1/8
- お知らせ
現在の東トルキスタンでは、ウイグル人と漢人とは同程度の人口比にも関わらず、漢人の学校の数に比べてウイグル人の学校数は圧倒的に少なく、設備も貧弱である。職業高校、専門学校、大学からはウイグル語が排除され、中国語によって授業が行われるようになった。最近では中学校、小学校でもウイグル語による授業が廃止され始めている。さらに、ウイグル人の小・中学校は相次いで強制的に中国人学校と合併させられ、中国語で授業が出来ないウイグル人やカザフ人の教師は追い出されている。
また就職する際には、漢族の学校の卒業生でなければ採用しないなど、著しい差別を設けることによって、ウイグル人の学校へ行き辛くなるような環境が作られている。
ウイグル人は自分達の言葉を奪われるだけでなく、歴史や文化なども奪われようとしている。中国全土において言論の自由は無いが、東トルキスタンではそれ以上に厳しく制限をうけている。これは現代においてもたびたび行なわれる焚書という行為からもわかる。ウイグル人の宗教、歴史、文学の書籍が文化大革命のときはもちろんのこと、二〇〇二年にも大量に焼かれている。
特にムハンマド・イミン・ブグラが書いた「東トルキスタン史」、トゥルグン・アルマスの「匈奴簡史」、「ウイグル古代文学」、「ウイグル人」(ウイグル歴史)の三誌、エイサ・ユスフ・アルプテキンなど在外ウイグル人の民族主義的な言動などが、汎トルコ主義、東トルキスタン独立思想の思想的支柱だとして、激しい攻撃の的とされている。
東トルキスタンの人々のアイデンティティの重要な要素であるイスラム教に対する弾圧も強化されている。ウイグル人の子供は信教の自由を厳しく制限され、伝統的文化や宗教から遠ざけられている。一八歳未満の子供はモスクに祈りにいくことも、宗教活動への参加も、宗教的な教育も禁止されている。この結果として、ウイグル人の若者は信仰とモラルが低下し、さらに様々な抑圧や経済的な差別などから希望を失い、ドラッグに溺れたりエイズに罹ったりするなどの深刻な社会問題を生んでいる。
普段の生活でも様々なやり方で同化の圧力を受けている。例えば、東トルキスタンのテレビ放送は六〇以上のチャンネルがあるが、ウイグル語放送など少数民族言語の放送は非常に少ない。カシュガルの場合であるが、ウイグル語放送は四チャンネルしかない。それぞれの地区で放送局が異なり、他地域の番組は見られないようになっている。たとえばカシュガルの人はウルムチやトルファンの放送局の番組を見ることができない。しかし中国語放送であれば、西安の番組でさえ見ることができる。