ウイグルの文化

ヘイトカル・モスク カシュガル

東トルキスタンに住む人々の文化で、音楽および舞踊は重要な位置を占めている。音楽の様式は、各民族の生活様式によって大別される。

 カザフ人やキルギス人など遊牧民の音楽は、シンプルな木製の弦楽器による独奏や弾き語りが主体である。器楽曲の形式にキュイと呼ばれるものがあり、これは曲にちなんだ物語を語り、それからその曲の演奏を始めるものである。

 これに対してウイグル人などの定住農耕民は、多様な音楽様式をもっていることと、使用楽器の多いこととが特徴である。
 ウイグル人の音楽は、ムカムと呼ばれる古典音楽と、民謡、民族舞踊曲、これらを基にして新たに作られた大衆音楽とに分けられる。ウイグルムカムは、西アジアおよび中央アジアに共通して存在するマカーム音楽の一様式であり、さまざまなリズムがあり、構造が複雑である。
 ウイグル人は「子どもは歩きはじめると踊り出す。話しはじめると歌いだす。」と言われるほどに、音楽と踊りを好む。演奏される楽器は、タンブール、ドタール、ラワプなどの弦楽器、スナイ(チャルメラ)などの吹奏楽器、ダップ、ナグラなどの打楽器である。
 舞踏法は、独特のステップやリズム、構成から成る。舞踊様式も娯楽的な大衆舞踊や、競技性のあるもの、動物を模したものなどさまざまである。
 「マシュラプ」と呼ばれる地元の祭りや娯楽的集まりのときに、民間舞踊が主に演じられている。


ムカム

ウイグルムカムは伝統楽器のオーケストラによって演奏される組曲であり、2005年にユネスコの世界無形文化遺産に登録された。3部分から構成されており、各部分は、チョン・ナグマ、ダスタン、マシュラプと名づけられている。
 チョン・ナグマは「大曲」という意味であり、独唱者が拍子なしに歌うところから開始される。
ダスタンは「叙事詩」という意味であり、通常4~5曲が歌と楽器で演奏される。
マシュラプは「舞曲」を意味し、3~5曲が歌と楽器で演奏され、このときに伝統的な舞踊が演じられる。地域の祭りであるマシュラプのときに、この部分からの曲が単独で舞踊曲として演奏されることが多い。

 ムカムは東トルキスタンの地域ごとに複数の伝統が存在し、ハミ・ムカム、トルファン・ムカム、イリ・ムカム、ドラン・ムカム、カシュガル・ムカムなどがある。
 このなかで、カシュガル・ムカムが12ムカムという名でよく知られている。12の旋法から成るムカムから構成されており、全部で300近くの曲から成る。1つのムカムの演奏に2時間ほどかかるため、すべてを演奏すると1日近くかかるといわれている。
 12ムカムの伝統は、16世紀のヤルカンド・ハン国の宮廷音楽に遡る。第2代スルタンのアブドゥラシードのもと、その妃であるアマンニサハンと師匠のキディルハンによって、12ムカムの基礎が築かれたと言われている。


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