7月9日、タイ政府は、ウイグルからタイに入国していた難民約100名を、中国に強制送還したことを発表しました。私たち日本ウイグル協会はタイ政府のこの措置ならびに、タイ政府に圧力を加えたと思われる中国政府に抗議すると共に、日本政府並びに国際社会に、ウイグル難民の救援を呼びかけます。
昨年より、タイを含む東南アジアにウイグル難民が入国し、多くが不法入国者として逮捕されていることは、私達のホームページでも紹介してきました。彼らは中国政府の新疆における弾圧に耐え兼ねて、ウイグル人として生きるために国境を越えた人々です。現在の新疆ウイグルにおける中国政府の情報統制、若者の強制拉致、ヤルカンドなどでの残酷な弾圧などにより彼らは生まれ故郷を棄てて東南アジアに逃れる道しかなかったのであり、この責任は基本的に中国政府の弾圧にあります。
私達は、これまでタイ政府がウイグル難民を、十分とは言えないにせよ保護し、これまで百数十名を希望するトルコに送ってくださったこと、その為に尽力してくださった現地の人権活動家の方々には深い感謝と敬意の念を抱いております。だからこそ今回のタイ政府の行為は残念なことであり、様々な難民を保護してきたタイの人権外交の歴史にも大きな汚点を残したものと言わざるを得ません。
今最も心配されることは、強制送還されたウイグル人たちの生命の危険であり、また、未だにタイに残る難民の一日も早いトルコへの出国です。私達は、以下の4点を、中国、タイ、日本各政府並びに国際社会に訴えます。
1、中国政府は今回送還されたウイグル人たちの安全を保障してください。もしも、彼らに危害が加えられれば、それは中国政府自身が批准している難民条約違反であることを認識してください。
1、タイ政府は、現在収容所に残されているウイグル難民の希望する第三国への脱出を直ちに認めてください。
1、日本政府は人権外交の立場から、中国、タイ両国政府に厳重に抗議し、ウイグル難民の生命と人権を守ってください。
1、国連は単なる抗議に留まらず、中国、タイ両国への人権査察団の派遣と、新疆における中国政府の弾圧政策を直ちに停止する事、それなくして中国は国連の常任安保理事国の資格はないことを明言してください。
2015年7月11日
日本ウイグル協会
※PDFファイル(384KB)
https://uyghur-j.org/statement/20150711_uyghur_thailand.pdf