世界ウイグル会議は、差し迫っているウイグル人難民のエルシデン・イスライル氏のカザフスタンから中国への送還を憂慮している

世界ウイグル会議は、差し迫っているウイグル人難民のエルシデン・イスライル氏の

カザフスタンから中国への送還を憂慮している

 

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31 May 2011
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エルシデン・イスライル氏、38歳はカザフスタンの知られざる地において拘束されているウイグル人難民である。エルシデン氏はカザフスタン当局が彼の難民申請を拒否した後の今、差し迫っている中国への送還の危機にある。イスライル氏はアルマトイの監獄から昨日の午後8時時(現地時間)にカザフの検察官と2人の中国人男性により、知られざる場所に移送された。イスライル氏の家族も弁護士も彼の所在や法的地位を知らされていない。そして世界ウイグル会議は本日午後9時(現地時間)のアルマトイから東トルキスタン区都のウルムチへのフライトでイスライル氏が送還途上であることを確信している。

世界ウイグル会議は、イスライル氏の命運に関して非常に心配しており、国際社会に対しイスライル氏のために立ち上がること、そしてカザフ当局に対して彼が拘束と拷問に直面すると思われる中国へイスライル氏を送還しないことを要請する。過去に中国へ送還されたウイグル人は、拘束され、収監され、判決の宣告を受け、拷問され、処刑されるかあるいは中国への帰還の後に失踪してしまっている。

2010年7月2日に言論表現自由の権利の促進・保護に関する国連特別査察官は国連の恣意的拘束に関するワーキンググループの議長査察官、「拷問及び他の残虐な非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰」に関する国連特別査察官、そしてテロ対策時の人権促進・保護に関する特別査察官と合同でエリシデン・イスライル氏に関して中国政府に緊急アピールを送付した。

エリシデン・イスライル氏は2009年9月ラジオ・フリーアジア(RFA、 www.rfa.org)に、ショヒラット・トルスンという名の若いウイグル男性の明らかな拷問死についての情報を与えた後に東トルキスタンを脱出した。

ショヒラット・トルスンは東トルキスタンの区都ウルムチでの2009年7月の抗議活動と民族騒乱の後すぐに中国当局によって拘束され続けていた。ショヒラット氏の遺体は外傷や打撲傷で覆われており、拷問によって死に至らしめられたことを強く示すものであった。トルスン氏の父親によると、当局はトルスン氏は心臓発作で死亡したと主張したが、31歳時で心臓疾患の病歴はなかったし彼は比較的若い男性であった。トルスン氏の家族は氏の死について何の調査もなしに埋葬することを強いられた。ラジオ・フリーアジア(RFA)はエルシデン・イスライル氏と他の証人が与えてくれた情報に基づいて2009年7月のこの事件についての記事を放送し発表した。

その後すぐに、中国当局は2人のウイグル人男性を逮捕した。ハジ・メメトとアブドゥルサレム・ナシルである。当局は彼らもショヒラット・トルスンの事件についての情報をRFAに与えたとして告発した。イスライル氏はまたこれらの逮捕のすぐ後に、そのときカザフスタンに脱出していた彼自身を当局が捜索し始めたことをRFAに知らせた。

2009年秋にカザフスタンにイスライル氏はたどりついた後、彼はアルマトイの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民地位を申請した。2010年3月、アルマトイのUNHCRの事務所はイスライル氏に国連委任難民地位を交付してスウェーデンへの移住の提供を確保した。イスライル氏は2010年4月1日にスウェーデンへの出発を予定していた。

しかし、カザフスタンを離れる最終的な準備をしているとき、UNHCR職員はカザフ当局がカザフスタン出国のための必要な書類をイスライル氏に与えることを拒否していることを知った。4月3日、UNHCRが移住の遅れを調査しているとき、イスライル氏はカザフ警察官に24時間中警備されているアパートに移送させられた。

2010年6月、イスライル氏は地方当局によって拘束され難民地位の申請についての総計5回の聴取を受けたが、イスライル氏の努力は全て拒否され、彼は中国に送還されなければならないとの命令が下った。この逮捕はほぼ中国による間違いで、かつ根拠のないイスライル氏へのテロリズム訴追、そして中国がカザフスタンにイスライル氏の送還を申請したことの結果である。イスライル氏はテロリストではない。中国政府は平和的な異論派のウイグル人やその言論の自由を行使したウイグル人にテロリストとしてのレッテルを往々にして貼り付ける。中国当局がイスライル氏を求める本当の理由は彼が言論の自由を行使し、RFAに前記の情報を与えたからである。

世界ウイグル会議はカザフ当局がエルシデン・イスライル氏に政治的庇護を与えようとしないのは中国の圧力ゆえであると確信している。全ての中央アジア諸国は中国からの強い影響力下にあり、特にカザフスタン、ロシア、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、そして中国によるSCO(上海協力機構)が設立された以後は中国の影響力は顕著である、これら諸国は地域的な安全保障の集団の一員であり、中国が卓越した影響力を及ぼしている。中国政府はそのテロ対策の国内手法を中央アジア全体に適用し伸張させるためにSCOを悪用しており、しばしば人権が犠牲にされている。特にウイグル人のような民族集団は表現、結社、そして宗教の自由の侵害に悩まされている。中国人権(HRIC)の上級ディレクターであるシャロン・ホム氏によると、SCOはテロリズム、分離主義、極端主義を疑われるいかなる個人や集団も、たとえUNHCRから難民地位を授与されるかも知れずとも、強制的に中国への送還を義務付けられているという。

世界ウイグル会議は中国に中央アジア諸国政府が自身の市民の公民権を侵害させるように圧力をかけることを止める様に要求する。

世界ウイグル会議はまた国際社会にイスライル氏の即時の保護と、カザフ政府が参加している国際条約を尊重する義務があることをカザフスタンに想起させることを要求する。

カザフスタンは1951年の国連難民条約、1967年の難民地位議定書と国連拷問禁止条約を批准している。重要なことにこの二つの条約は難民の追放の多種にわたる予防策を持っている。ノン・ルフールマンの原則は最も基本的なものでその留保や逸脱はない。何人も難民を絶対にその意思に反してその生命や自由を脅かす恐れがある地域にいかなる方法でも追放または送還(ルフール)してはいけない。エリシデン・イスライル氏を中国に引き渡すことによってカザフ当局は参加している条約を明白に違反することになるであろう。

世界ウイグル会議総裁で元良心の囚人であるラビア・カーディルさんは、「イスライル氏に政治的庇護を授与せず彼の生命を重大な危機にさらすというカザフスタンの決定にはまったく失望しました。」と語った。

世界ウイグル会議は国際社会に、カザフ当局が強制的にイスライル氏を中国に送還することを止めさせるように、そして代わりに政治的庇護を授与させ第三国に移住させることを許可させるよう強く求める。

カザフスタンは他の中央アジアの国々と同様にいかなる政治的活動に関与したと疑われるウイグル人を強制的に中国に送還したり強制的に追放したりしている実績を持っている。

過去の事件としては下記のものがあるが、それらに限られたことではない。

・UNHCRに難民地位を申請したアフメット・メメットとトゥルグン・アッバスはカシュガル出身のイスラム学徒だが、2001年12月にカザフスタンで拘束されたと報道された後に中国に強制的に送還されたと信じられている。彼らの現在の所在、法的地位、健康状態についてさらなる情報はない。

・2003年春、アブドゥカハル・イドリスはアルマトイで「失踪」したのちカザフスタンから中国に強制送還された。彼はいなくなる前にUNHCRに難民地位を求めて接近していた。彼の現在の所在、法的地位、健康状態は不明である。

・イスマイル・セメドは2003年に中国からパキスタンに強制送還された後に2007年に処刑された。セメドはウイグル人の人権を支持し政治的な活動したとして知られていた。セメドは2005年10月に「祖国の分割を試みた」容疑で死刑を宣告された。中国当局はセメドが東トルキスタンイスラム運動(ETIM)の設立メンバーだと非難した、この訴追は、「分割主義」容疑に外見上導かれたが、拷問を通じて取得された間接的な証拠にしか基づいていないように見受けられる。

・フセイン・ジェリルは1990年代に東トルキスタンにおいての迫害と拘束に苦しんだ後にウイグルの人々の宗教的、政治的権利を擁護する仕事を求めて中国を逃れた。UNHCRを通じて彼はカナダに2001年に移住し、2005年11月からカナダ市民になった。2006年2月、フセイン・ジェリルは妻の家族を訪れていたウズベキスタンで中国の警察に引っ張られた。彼は中国に引き渡されて裁判に直面した。彼は「テロリズム」で訴追されたと報道され、弁護士、家族、カナダ政府職員との接見もなしに拘束された。フセイン・ジェリルは自白書に署名しなければ「消える」か「生き埋めにされる」であろうという脅しを受けていた。中国当局は彼のカナダ市民としての地位の認識を拒否しカナダ政府職員は裁判を傍聴することを許されなかった。彼は不公平な裁判で終身刑を宣告された。

・2009年12月19日、カンボジア政府は国際法の容赦ない侵害を犯し、2人の子供(生後6ヶ月と1歳)を含む20人のウイグル人を中国に送還した。数ヶ月前に彼らの平和的な政治活動が理由で迫害される差し迫った危機のためにその20人は中国から逃げてきたのであった。ウイグル人で、イスラム教徒であった。それらのウイグル人はUNHCRが彼らの難民地位を決定する前に強制送還されたのである。今日までこれらの人々の所在は不明である。

世界ウイグル会議はこれらのことにより、イスライル氏が拘束され、拷問あるいはまた送還された後すぐに失踪してしまうことを恐れている。中国政府はいかなるウイグル人異論派も国内法や国際法を尊重せずに厳しく罰することで知られている。東トルキスタン内や海外でのウイグル人への抑圧政策を通じて、中国当局はウイグル人がウイグル人の民主政治運動に参加することを思いとどまらせている。

世界ウイグル会議 英語
http://www.uyghurcongress.org/en/?p=8389

世界ウイグル会議 日本語
http://www.uyghurcongress.org/jp/?p=2959

 

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