日本ウイグル協会 Japan Uyghur Association
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2011年11月12日独立記念行事 ロバーツ氏講演会 空想のテロリズム報告 日本ウイグル協会の活動の紹介



※本講演会の案内は、こちらのページをご覧ください。
2011年11月12日独立記念行事 ロバーツ氏講演会 空想のテロリズム
2011年11月12日独立記念行事 ロバーツ氏講演会 空想のテロリズム報告

今年の東トルキスタン共和国独立記念行事は、長年ウイグルについて研究をされてこられた、ジョージワシントン大学のショーン・R・ロバーツ氏にご講演いただいた。

独立記念行事として、東トルキスタン国歌拝聴、日本国歌斉唱の後、日本ウイグル協会イリハム会長より挨拶、ロバーツ氏の基調講演となった。
以下講演内容についての概要である。

ブッシュ米大統領が2001年に「テロリズムとの戦い」を宣言して以来、中華人民共和国は、武装したウイグル人テロリズムと戦っていると主張するようになった。
そしてこのウイグル人テロリストについての物語は、東トルキスタン・イスラム運動(East Turkistan Islamic Movement : ETIM)またはトルキスタン・イスラム党(Turkistan Islamic Party : TIP)という組織に対する中国政府からの非難に基づいている。ロバーツ氏をはじめ、ウイグル研究者、ウイグルの政治活動についての研究者の中でも、2001年以前にこの組織のことを聞いたことがある人はほとんどいなかった。

アメリカ911同時多発テロ事件の2ヶ月後、中国は「東トルキスタン組織によるテロ活動とオサマ・ビンラディンとタリバンとのつながり」という公式発表を行った。ETIMは、ビンラディンが率いるテロネットワークの主要な組織であり、資金30万ドルを受け取り、アフガニスタンでタリバンと共に320人のウイグル人テロリストが戦った、としている。更に翌年1月には、「東トルキスタンテロリスト勢力は処罰から逃れることができない」と題した白書を出した。その後数年間に、ETIMのメンバーや、他のウイグル過激派組織、個人についてのリストを出し、テロの脅威についての公式発表を続けた。
このような中国の公式発表は、アメリカの「国際的なテロとの戦い」に便乗し、ウイグル人の反政府的組織との闘争を、その一環であるとして行われたのだろうと、中国やウイグルの専門家の多くは考えていた。

そしてこれら中国からの公式発表の後、2002年9月アメリカの大統領令13224と、国連安保理決議1267、1390により、ETIMはテロ組織として認定され、国際的な制裁を加えること、ウイグル人を国際的なテロの脅威になりかねないとの懸念を示した。
しかし、このテロ組織認定されたことについては、それまで研究者がETIMについて触れたものがなかったこと、過去20年新彊ウイグル自治区で起こった暴力事件が実際にテロリズム組織によって計画的に実行された証拠がなかったため、アメリカや国連がETIMをテロ組織として認定したのは、中国を全世界のテロとの戦いに乗り出させるための、取引の道具としたのではないかと、一部のアナリストは考えている。更にそこには中国や中央アジアへの偏った知識が基になっているのではないかと非難する者もいた。
いずれの思惑があったにしても、アメリカがETIMをテロリストグループと認定したことは、その後の10年間、中国が主張する「ウイグルテロリズムの脅威」に対して正当性を与える重要なものとなっている。更にこれは、シンクタンク、政策アナリスト、安全保障の専門家、学者らによる、ETIMに関する知識の連鎖を作ることにも正当性を与えている。 この知識の連鎖は、ほとんどが疑わしい証拠に基づいており、ある人が発表したETIMについての情報をまたある人が引用し、十分な検証のないまま形つくられてきている。

ロバーツ氏は数年前より、ETIMとウイグル人テロリストの脅威についての調査を始めた。グアンタナモ収容施設に拘束されていたウイグル人の審議について調査し、アルバニアに移送されたウイグル人にインタビュー調査を行い、更に中国からETIMメンバーと認定された数人のウイグル人とも会って話をした。
彼らのほとんどがグアンタナモに来るまでに、オサマ・ビンラディン、アルカイダ、タリバンなどの名を聞いたことが無いと話した。彼らのうち一人が言った、「私達には10億の中国人が敵であるだけで十分なのに、他に敵をつくることがあるだろうか」という言葉に、彼ら拘束されたウイグル人が、アメリカを敵とはみなしていないということが現れているだろう。
彼らの多くは、建物の修繕などを行うくらいで、軍事的トレーニングもほとんど受けておらず、アフガニスタンに滞在したのはトルコなど第三国へ亡命するための一時避難という認識であったことが、聞き取り調査の結果浮かび上がった。

2003年2月にETIMのリーダーとされたハサン・マフスムがパキスタン軍によって殺害され、それ以降ETIMの活動についての報道はしばらく止まっていた。恐らく組織として脆弱であったETIMはリーダーを失ったことで解散し、メンバーは身を隠さざるを得なくなったのだろう。しかし、2006年頃からはトルキスタン・イスラム党(TIP)が、ETIMの後継組織であるとして登場するようになった。これもETIMのときと同様、その実態や、存在についての明確な証拠が提示されていない。TIPは犯行宣言の映像をYoutube上に独自のチャンネルを設けてアップロードし、中国への武装闘争宣言や、特に2008年のオリンピックの妨害を宣言するなどしている。

先月中国政府は、テロ対策のための新しい法を採択し、反政府的立場の人や団体をテロリストと定義付け、これらへの弾圧する際の法的根拠を整備した。更に今月にはパキスタンとの反テロ対策の合同軍事演習を予定している。これらウイグル・テロリストをターゲットとした中国政府の政策は、今後更なる民族間の反発を招くことになるだろう。

本講演会の映像はDVDにて販売する予定になっております。
準備が出来次第、お知らせいたします。
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